GT商品開発教室 連載講座 7 「フリーペーパーの活用」


「フリーペーパーの活用」

都市部を中心にフリーペーパーが勢いを伸ばしている。生活に密着した情報をファミリー層、主婦層を中心に提供する大手から地域限定または、特定のテーマに発行するものまで多種多様なフリーペーパーが存在している。
 例えば、グリーン・ツーリズムをファミリー層にアピールするという事例として、S新聞系列のフリーペーパー「L紙」では、2008年4月11日 農協観光「お米づくりって楽しい!田植えと稲刈りを親子で体験」のツアーを紹介したところ、300名以上の集客実績があった。
その後、L紙は2004年から継続している「ファミリー田植え体験」「ファミリー稲刈り体験」を取り上げ、毎年150~250家族が参加しているという。
2007年春 まちむら交流きこう「田舎で休日をのんびりたのしもう GTの旅」を告知したが、ファミリー層に絞ったPRには、威力を発揮するといわれており、大手企業においても最近では、フリーペーパーのファミリー層という地域に密着した読者への情報発信に積極的であるという。




【ケーススタディ】
フリーペーパーを活用して体験ツアー参加者を募集する。

グリーン・ツーリズム商品コンテスト2009年の優秀賞お一つ、ゆめ倶楽部21(和歌山県日高川町)は、田舎暮らしの体験ツアーとして、体験ツアーの募集を近畿で配布するフリーペーパーを活用して募集した。
実施日:平成22年3月27日(土) 日帰り、参加人数:21名(男性5名、女性16名)、参加者:全員が団塊の世代(ニューシニア)を対象とした情報誌「フロンティアエイジ」の読者。50~60代の都市在住者(大阪市、神戸市など)が中心で、田舎暮らしに関心を持っている人が多かった。
※フロンティアエイジとは、新時代の開拓者の意味。近畿2府4県で90万部発行している朝日新聞のOBが設立したフリーペーパー。ツアー料金:8,000円

<行程表>
JR大阪駅(8:00)==貸切バス==古民家レストラン「まる貴」(堺市から移住した細木さんが営む農家レストラン。田舎暮らしのお話しを聞き、創作ジビエ料理の昼食)==加藤夫妻のセカンドハウス(堺市との二地域居住。フラワーガーデンでのティータイムと不耕起栽培見学)
==農場に移動し有機野菜の不耕起栽培体験==日高川交流センター(樹齢700年の大楠による巨樹セラピー)==道の駅San Pin(サンピン)中津で買い物==道成寺(副住職から七不思議のお話)==JR大阪駅(19:00)

<商品のセールスポイント>
ニューシニア(団塊の世代以上)の中でも、特に田舎暮らし(二地域居住・移住)、農業・漁業、食について関心の高い人たちをターゲットとして、和歌山県の紀北から紀南の各地を順に巡りながら、体験から交流、交流から定住をテーマに学ぶ旅シリーズ(移動実地型カルチャースクール)。第1回目となる本ツアーでは、日高川町を巡り恵み豊かな山里での農業を学び味わい体験をする旅を実施します。和歌山650kmの海岸線と森の国に生きる人々のまちづくりに都市部シニアが出会い、交流、拠点作りをする旅である。




地域密着の地方紙やフリーペーパーへの掲載はツアーやイベントの集客にはきわめて参加率が高いメディアといえる。
 できれば、これまで類似の掲載されたツアーやイベントの内容を分析して、それよりも魅力的な内容になるような工夫をすると掲載確率も紙面の広さも期待できる。
 さらに、市民自らが情報発信の担い手となる市民メディアとも連携すると面白い。
まだ、全国各地で市民メディアが広がっているわけではないが、ユニークなツアーやイベントなど日ごとからその目的について情報発信することで、取材される機会が増える。
 取材される鍵となるのは、社会的な課題や社会に貢献するという目的や取組が珍しい、あるいは困難であるといったことに注目されることが多い。
 これまで、そうした取組がなかった地域にも十分チャンスがある。その場合、その取組を行う人間に焦点を当てて取材してもらうことをお勧めする。取材し報道されることにより地域の活力や一層のやる気が盛り上がるので、地元メディアとは日頃より情報発信のために仲良くしておきたい。
ケーススタディで紹介した優秀賞のツアーには地元紙が取材に来た。そして、地元紙で取材掲載された内容を一つの成果として、さらに多くの人に紹介するためのネタとして活用することで、情報発信効果がますます高まってくる。
地方都市で話題になっているものは、大都市でも取り上げられるチャンスは高いといえる。