温暖化防止対策に必要不可欠な排出権取引制度
地球温暖化対策において、CO2の削減が必須となっており、わが日本は、「2020年までにCO2の90年比25%削減」との国際公約を掲げています。
その公約を達成するには、CO2の排出量取引制度の本格導入は不可避の命題であり、その成否は公約達成の鍵とも言われています。
すでに海外においては、排出権取引制度が実施され、企業間の取引が活発に行われています。日本企業においてもグローバルな展開を行う以上、この問題には無関心ではいられず、海外の植林等を行う企業の活動をコマーシャル等などで知る国民も少なくありません。
なぜ日本企業が海外の植林等を熱心に行うのでしょうか。それは世界に製品を輸出している世界的な企業であることから世界の環境保全に責任を持つといった姿勢もありますが、日本に排出権取引等の制度整備が大幅に遅れていることが大きな要因です。
例えば、EU 域内ではデンマークやイギリス、ドイツなどが国内排出取引制度を設けていますが、2005年 1月には EU 域内で共通の取引市場として機能する EU ETS(The EU Emissions Trading Scheme)が創設されています。
アメリカでは、北東部11州(コネティカット、メイン、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ロードアイランド、バーモント、デラウエア、ニュージャージー、ペンシルベニア、メリーランドおよびニューヨーク州)や西部 5州(カリフェルニア、オレゴン、ワシントン、アリゾナ、ニューメキシコ)などでは実際に検討ないし決定されています。
これに加え、州毎の対応が先行することに危機感を募らせた産業界からも独自の取り組みに乗り出すようになり、2007年に企業団体 (USCAP, United States Climate Action Partnership) を設立し、連邦全体に適用される排出取引制度の制定に主導権を取れるよう働きかけを行っています。
因みに、世界全体での排出取引の市場規模は、2007年時点で約400億ユーロ(約6兆円)前後であり、急激な拡大を見せており、今後も拡大は続くと予想されています。2007年時点の取引総量は27億トン、これも急激に増加しています。
ここにきて、世界に公約した我が国では、企業にCO2の排出枠(キャップ)を設けて、その過不足分を売買(トレード)するC&T(キャップ&トレード)型排出量取引制度の導入の是非論の段階から導入するための制度設計へと検討が進んでいます。