【全体の講評】
本表彰事業も第7回を迎えました。今年度は、全国より108件の応募を頂くことができ、大変感謝しております。各地で努力を重ねて取り組まれる応募事例は、取り組み1つ1つが、創意工夫に満ち、地域内外に活動の幅を広げながら、多くの主体が参加している大変内容の濃いものであり、「都市と農山漁村の共生・対流」(人・もの・情報の行き来)の動きが、また一歩、前進しているという手応えを感じております。
全体の感想としては、農山漁村地域の取り組み、いわゆる受け手側の動きだけではなく、都市住民や企業・団体等による農山漁村地域へ向かう「送り手側」の取り組みや、都市と農山漁村の両者を繋ぐ橋渡し的な取り組みを行う事例が、多く見られるようになりました。
その中でも、「集落維持や耕作放棄地解消に関する活動」、「企業やNPO等と連携した環境保全や商品開発に関する活動」、「過疎・高齢化の進む農山漁村地域における若者の活動」、「一元的な窓口を設置するなど、効果的に受け入れを行うグリーン・ツーリズムの活動」、が特徴的で、特に、文化的要素を地域づくりに盛り込んだもの、地域経済の活性化を目指すコミュニティ・ビジネスの取り組みなど、交流事業だけではない、複合的な地域づくりの事例が見られました。
さらに、今年度も都市と農山漁村の共生・対流の観点において、類似性の高いと思われる他団体が実施される表彰事業と連携を試み、特徴ある優良な活動事例をご推薦いただくことが出来ました。日本を代表する企業、地域に密着した取り組みを行われている団体のご参加を得ることが出来き、オーライ!ニッポンの推進に拍車をかけることが出来ました。
審査委員会では、審査基準(*)に基づき、熱心な議論を行い、オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)、オーライ!ニッポン大賞、審査委員会長賞、ライフスタイル賞並びに、オーライ!ニッポン フレンドシップ大賞及びフレンドシップ賞、計18件を選定いたしました。しかしながら、応募頂きました取り組みはどれも大変優れたものであり、各賞の選定にあたっては、審査委員の視点から活発に意見が交わされ、絞り込みは大変な作業となり、審査委員一同、地域で取り組まれる活動に対して深い敬意を払いながら、審査にあたりました。
結果としては、アートを切り口とした独特の地域づくり手法により、越後妻有の山間部に国内外から地域、世代、ジャンルを超えた多くの人を呼び寄せ、さらに棚田や郷土食など地域資源を活用した新たな観光資源を生みだすなど、イベントだけに留まらず、独創的な地域づくりを実践する「大地の芸術祭実行委員会」がグランプリに選ばれました。
また連携表彰事業からは、地元青年の熱い思いを、その土地の出身である作家が協力して形にし、年に1度のイベントを契機にさまざまな地域づくり活動に繋げている「遅筆堂文庫生活者大学校」が、オーライ!ニッポン フレンドシップ大賞として選ばれました。
入賞団体の取り組みは、今後の都市と農山漁村の共生・対流推進モデルとなるとともに、今後ますますの発展が期待されております。また、これからの活動の展開が大いに期待できる取り組み、先進的な事例として全国に紹介したい取り組みなど、僅差により入賞を逃した事例が数多くありました。応募頂きました皆さまの今後より一層のご活躍を祈念しますとともに、再度の挑戦を期待しております。
●オーライ!ニッポン大賞 審査基準
・新規性(新たなライフスタイルの提案、普及に関する取り組みであること)
・継続性(活動に多様な主体が参加・連携し、継続的な活動実績があるか)
・モデル性(他地域への波及効果が期待できるか)
・独自性(地域固有の資源や個性を十分に活用し、オリジナリティがあるか)
・効果性(経済効果・社会的効果等が生まれており、持続して発現すると見込まれるか)
オーライ!ニッポン大賞
ライフタイル賞
【全体の講評】
オーライ!ニッポン ライフスタイル賞は、I・Uターン等により農山漁村地域に定住し、魅力的なライフスタイルを営む方々の生き方を広く紹介することで、農山漁村地域へ行ってみたい、住んでみたいと思う方々への参考として貰うことを目的としています。
また、生まれ育った故郷で、地域の魅力を広めたい、自分の作る生産物を直接、消費者に届けたいなどの思いから、都市から来る方々を受け入れる取り組みを行っている方々も多くおられ、農山漁村地域へ行ってみたい人の背中を押して、都市と農山漁村の行き来を活発にすることで、地域の活力となり、定住へと繋がることを期待しています。
今年度も、それぞれの思いを発揮する場所として農山漁村地域を選び、その土地に愛着をもって溶け込みながら、独自のアイデアと信念を持った行動力で魅力あるライフスタイルを実現されている方、また地元を愛し、自らが地域のリーダーとなって、率先して都市農山漁村交流を実践する方などから応募を頂き、絞り込みを行うのは大変難しく難航しましたが、審査委員会では、審査基準(*)をもとに、様々な角度から審査を行いました。
結果としては、青森県グリーン・ツーリズムの第一人者として多方面で活躍し、ご夫婦でペンション&農家レストラン「ル・カルフール」を切り盛りする「田村義夫さん・えり子さん(青森県)」、フクロウと人との共生を通じて、高齢化率47%の集落に幸せと元気を与える「見永豊子さん(広島県)」、東京の出版会社から田舎暮らしへ転身、地域の頼れる存在として活躍する「金子数栄さん(長崎県)」、手塩にかけて育てた生産物を直接消費者へ届けるために家族で農業の6次産業化に取り組む「鷲頭栄治さん(大分県)」の4名が選ばれました。
ライフスタイル賞に選ばれた方々の生き方や地域での活動は、これから農山漁村に定住を考える方々、農山漁村地域でチャレンジしてみたい若い世代、また、都市との交流を実践してみたい方々への参考となるもので、新たなライフスタイルが生まれるきっかけに繋がるものと期待しております。
今回、選定にはならなかったものの、農山漁村地域に移住・定住してご活躍される皆様、信念をもって都市農山漁村交流を実践される皆様におかれましては、その魅力あるライフスタイルの実現までのご努力に、深く敬意を表しますとともに、ますますのご活躍を祈念しております。またぜひ、これから実現するライフスタイルをご紹介下さい。心よりお待ちしております。
●オーライ!ニッポン ライフスタイル賞 審査基準
・独自性(農山漁村を舞台にした新たなライフスタイルをすごしているか)
・モデル性(他の人の参考・手本となるモデル的要素があるか)
・魅力性(個性的で魅力やバイタリティのあるライフスタイルであるか)
・継続性(無理なく長期的に続けられるライフスタイルであるか)