第4回(平成18年度)オーライ!ニッポン大賞
総評


オーライ!ニッポン大賞


【総評】

 本表彰事業は、今年度で第4回目となりました。今年は全国各地から114件(オーライ!ニッポン大賞90件、ライフスタイル賞24件)の応募を頂きました。
 また今年度から、都市と農山漁村の共生・対流という観点において類似性の高いと思われる、様々な組織や団体が実施されている表彰事業との連携も試み、更に幅広い活動事例の応募を頂くことができました。
 全体の感想としては、「子どもたちの環境教育や生きる力の醸成などを目的とした『体験型教育旅行』の受け入れを行う活動」、「NPO組織など中間的な立場において都市部と農山漁村を結び付けている活動」、「広域的に連携して都市・農山漁村の共生・対流の活動に取り組む活動」、「集落や地域が一致団結し、都市住民との地域環境や農地の保全活動等を行いながら、今後の団塊の世代の大量退職者時代に対応した受け皿づくりを行っている活動」などの事例が目立ちました。
 また、受賞には至らなかったものの中にも、高等学校や中学校において農業や農山漁村地域とのふれあいを学校生活の中に取り入れている事例、観光協会を株式会社化するなど民間活力を導入し、行政に依存しない組織運営を実践している事例、また子育て支援や福祉関連における横断的な活動事例なども見られ、都市と農山漁村の共生・対流の取り組みの輪が着実に広がり、様々な形で活発に推進されているという手ごたえを感じました。
 審査委員会では、審査基準(*)7項目に基づき、各審査委員が熱心に議論を行い、特に「都市と農山漁村との行き来が活発であること」、「活動の内容が充実しており、地域内外に波及効果を生んでいるもの」、「活動の内容が他の地域のモデルになるような取り組みであること」などという点を重視して各賞を選定しました。
 しかしながら、応募の内容はどの取り組みも大変優れたものであり、オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)をはじめ、オーライ!ニッポン大賞、審査委員会長賞の選定にあたっては、各審査委員からの活発な意見が交わされ、受賞地区を絞り込むことは大変な作業となりました。
 結果的には、受入側の取り組みである「特定非営利活動法人 体験観光ネットワーク松浦党、松浦体験型旅行協議会」(長崎県松浦市ほか)が、民間主導のコーディネート組織と担い手からなる13地区の受入組織で広域的なネットワークを結び、教育と結びつけた「体験型旅行」の提供に広域で取り組み、地域への高い波及効果が見られる点が評価され、グランプリに選ばれました。
 このほか、惜しくもグランプリには届かなかったものの、全国初のカルチャーセンター方式の農業体験農園として開設して以来、都市住民と農業との共存を実践している「練馬区農業体験農園園主会」、株式会社化することで継続的な地域の自然環境や生態系保全活動に取り組む「(株)ピッキオ」、また日本の農村民泊制度において、規制緩和のさきがけとなり、更にグリーン・ツーリズムの内容の充実が図られている「宇佐市」(平成15年度第1回審査員会長賞受賞)など、いずれも優れた取り組みを展開しており、高い評価を受けました。
 受賞団体の取り組みは、今後の都市と農山漁村の共生・対流促進モデルとなるとともに、今後一層の発展が期待されております。また、今年度の選考にあたっては、僅差で入賞できない事例が数多くありました。より磨きをかけて、参加の輪を広げながら、再度挑戦を期待しています。


(*)オーライ!ニッポン大賞 審査基準
農山漁村地域を舞台とした新たなライフスタイルの提案、普及に関する取り組みであること。
地域の個性を生かした取り組みであること。
農山漁村地域を活性化する効果があること。
都市側、農山漁村側双方の住民の参加を促進する取り組みであること。
長期的な取り組みの実績があること。
効果が持続して発現すると見込まれること。
他の地域における応用性に富んでいること。