あなたにあった田舎暮らしを探してみませんか?
ほぼ定住形”どっぷり”田舎暮らし
「江の川の流れる町によみがえった桑畑」
Iターンのきっかけ


 団塊の世代が大量退職を迎える「2007年問題」が注目を集めるのなか、新たなライフスタイルとして「田舎暮らし」を選択する人が増えてきました。田舎暮らしと一口にいっても、さまざまなタイプがあり、それぞれに応じ、積極的に受入れを行なう地域があります。あなたの理想とする田舎暮らしはどんなものですか?それを実現できる場所はきっとあるはずです。
ここで紹介するのは、ほぼ定住型の“どっぷり” 田舎暮らし。農業へと華麗に転身し「第二の人生」を謳歌している古野俊彦さん(62歳)のケースです。
中国山地を流れ日本海に注ぐ江ノ川とともに暮らす町、島根県江津市桜江町。河川敷や山あいには明治以降に生まれた桑畑があります。桑の葉からできる「桑茶」はもともと養蚕家が自家用でつくっていた健康飲料でしたが、それを本格的に生産し、販路を開いたのは、福岡市からこの地に“どっぷり” Iターンした古野さんでした。
[地域:中国]


Iターンのきっかけ

桜江町桑茶生産組合代表 古野氏

 「もともとアウトドアが大好き。第二の人生は田舎で暮らしたい」
 福岡市の繁華街で旅行会社を経営していた古野俊彦さんは、そんな思いを胸に、いくつかのIターン候補地をまわっていました。
 それが1996年、ランのハウス栽培を見るために桜江町を訪れたとき、自然豊かなこの地にすっかり魅せられたといいます。
「町の中央をゆったりと流れゆく江の川、車で20 分も走れば日本海へ行ける立地もすばらしい。広葉樹林の森が広がり、水と空気がきれい。そのうえ町もIターン者の受け入れに積極的でした」
 もう1つ現実的な理由もありました。
「福岡に親が住んでいるので、何かあったときに、数時間で戻れる距離である必要もありました」
 桜江町は、島根県のほぼ中央部、中国山地の北斜面に位置する山間の町です。しかし、高速道路を使えば、博多行の新幹線が頻繁に止まるJR広島駅まで、1時間半の便利な場所でもあります。
 古野さんが経営していた旅行会社を整理し、妻の房子さんと桜江町に移り住んだのは、51歳の時でした。第二の人生をスタートさせる年齢としては、やや早めですが、子育てもすでに終わり、「田舎にとけこむには、若くて体の動くうちに、地元の人といっしょに仕事をするのがいちばん。そうすれば自然に友だちもできるはず」と決心しました。
 最初、古野さんは、桜江町各地で農作業の手伝いをしながらのんびり過ごしていました。
「個人園芸をされている人のところへ見習いで入ったり、江ノ川での海老の漁を指導していただいたり。毎日がGWみたいな生活でした」
 豊穣な時間の流れる田園生活。町の中央では江ノ川と八戸川が合流し、付近の土壌に恵みをもたらしています。江ノ川は美しく、ときに荒れ狂う姿など想像できません。川にはアユや川エビ、モクズガニなど、様々な生物が棲息しています。古野さんのお気に入りの風景でした。


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