GT商品開発教室 連載講座 2 「商品開発のプロセス」


 一番良い商品は、お客さんが喜んで参加し、満足し、継続的にその商品が売れるものである。
4.商品開発のプロセス

次に、商品開発するときには、どのようなプロセス(段階)が必要なのかプロセスを箇条書きする。
(1)マーケティング思考による基本的な方向づけ
 ①なぜ、つくるのかを考える。
 ②自分達のもっているもの(資源)を知る。
 ③景観、食事、体験等の個々の特徴を知る。
 ④購買者層を知る。
(2)商品の開発の検討
① 商品開発のねらい
② 取り巻く状況の把握
③ アイデアの創出
④ アイデアの評価
⑤ 商品コンセプトの決定
⑥ 商品の試作
⑦ テスト販売(モニターツアー等)
⑧ 生産計画・販売計画立案
⑨ 本格販売
⑩ 評価・改善
(3)情報発信の検討
旅行商品の内容、価格等、特徴など重要な情報を発信する必要がある。
(4)流通対策と販売促進・広告宣伝の検討
(5) 参加者からの苦情の対応方法の検討
  参加者からの生の“声”は、商品の開発・改善への最大の重要情報である。
 そして、それらは、以下のマーケティング活動によって、まとめられるものである。
① 商品戦略
② 価格戦略
③ 販売戦略
④ プロモーション戦略
各々の戦略の詳細についての解説は、別の機会に譲るとして、大手旅行会社の商品と競争が避けられない現在の市場では、戦略的な視点の欠如は即、失敗を意味することは理解してもらいたい。


5.良いグリーン・ツーリズム商品とは

一番良い商品は、お客さんが喜んで参加し、満足し、継続的にその商品が売れるものである。
 グリーン・ツーリズム商品コンテストでは、旅行のプロを中心とした選定委員会で、以下の項目で優れた商品として選定を行った。
1点目は「顧客マーケティング」。商品がどのようなお客様をターゲットに、どんな価値・満足を提供しようとしているのか。マーケティング視点が不明確だと、お客さまへのメッセージがきちんと伝わらず、結局は商品化に失敗するからだ。
2点目は、「地域資源の活用」。地域には、既知の優れた資源だけでなく、お客さまを感動させる未知の資源がまだまだある。これらの資源をきちんと再発見・再評価編集することで、新しい地域魅力が生まれる。
すなわち従来の観光商品とは差別化が可能になる。特に、旅行の重要な要素は「食」だ。食材だけでなく、これらの加工や食の作法といったことに工夫すれば、お客さまに喜んで頂ける新しい資源になることは間違いない。
3点目は「事業の実施主体」がしっかりしているかどうかという点。モニターツアーはもとより、安定的な事業を継続実施していくためには、この実施主体がしっかりしているかどうかが重要になる。これら実施主体には、地域内の多様な方々の協力と連携の仕組みができていることも重要となる。
4点目は、企画がどんなに勝れていても、「商品性」がなければ売れない。価値にみあった適切な商品魅力と適正な価格が設定されているかどうか。商品内容に、お客さまがこれなら「お得」と思って頂けるかどうかが大事だ。
5点目は、ツアーが確実に実現できるかどうかという「ツアーの実現性」。確実にお客さまを集めて、所期の効果を確実に出すという実現可能性を重視している。
6点目は、今回の事業が単にモデルツアーで終わるのではなくて、これが持続的に継続できること。つまり事業としての「継続性」を評価項目とした。
最後の7点目は、このツアーが成功するためには、顧客ターゲットに対して確実に情報が届き、誘引できる「情報発信・プロモーション」が重要。この情報発信・プロモーションが適切かどうかという点も評価した。