もったいない食材をつかうことで農家が元気に
そうしたことを通じて、消費者が農業に関心をもってもらうことも近藤さんのねらいの1つです。
「農業に理解のある消費者は農作物に対して無茶も言いません。新鮮でおいしい野菜が欲しいというのはわかるんです。でも、『まっすぐなキューリじゃなかいや』とか、『色ツヤがよくないくちゃいや』とか、『形がととのっていなかや』というのはどうなんでしょう。ちょっとまがったきゅうり、少し大きくなったほうれん草、形のととのっていないブロッコリー。そうしたものが『規格外』とされて、商品にならないことには疑問を感じます」
そこで近藤さんは、山口県内で活躍する起業家とともに、「もったいない食材」の活用を考えはじめました。「もったいない食材」とは、味は同じなのに、形が悪い、サイズが大きすぎるということで規格外になり、捨てられている農作物です。
「農家さんにとっても、食べて生きる私たちにとっても寂しいことです。なんとか捨てずに活用することはできないかと、という思いから商品開発がはじまりました」
「もったいない食材」にはこんなものがあります。たとえば梨。形が悪かったり、栽培時や出荷時に傷がつき、捨てられてしまう量は年間約30トンにもなります。たとえば夏みかん。農家が高齢者である、買取り手がないなどの理由で、収穫されずに放置されています。たとえば小野茶。製品化するときに出る葉脈や茎は捨てられてしまいます。
こうしたもったいな食材をつかって、商品開発します。「もったいない梨パン」は梨のコンポートがつまったパン。梨の品種によって甘みも食感も違います。小野茶のヌガーもつくられました。歯触りがよく、お茶のキャラメルといった感じです。
「地元の企業家の方に、もったいない食材をつかいたいという人が増えて来ています。コストも安くすんで、農家さんのがっかり感もない。あますことなく農家の収穫物をつかうことで、農家を元気づけることができるのです」
近藤さんはさまざまな活動通じて、農山村の活性化にとりくんでいます。キャンピンガーを改造したキャラバンカーを運転し、一人で各地の農山村をめぐり、演説や話し合いを繰り返す近藤さんには底知れぬパワーを感じます。思い切って、そのパワーに巻き込まれ、あなたも学生耕作隊に参加してみませんか。