農山漁村に吹く新しい風
「現代労働力不足と農への好奇心をマッチングする学生耕作隊」
学生耕作隊の誕生




学生耕作隊の誕生

会合で話をする近藤さん

 「その当時は、シニア世代や女性が、今後の農業の担い手として注目されていました。しかし、若者は蚊帳の外という感じで。若者は農業に関心がないだろうって、決めつけられているというか…。これに違和感を覚えたんです。私のまわりには農業に関心が高く、農の現場で働きたいという人が多かったものですから…」
近藤さんは、2001年、山口大学全学部の1年生約2000人を対象にアンケート調査を行いました。1360人から回答があり、68%が「日本の食糧事情に関心がある」と答え、「生産現場で活動してみたい」との回答も67%に上りました。
「予想以上でした。これはとてもすごいこと。それなら若者と農家の橋渡しができないかと思ったんです」
農の現場は若い働き手を必要としています。学生は農業をやってみたいがその機会がない。そこで近藤さんは両者を結びつけることを考えました。
2002年1月、近藤さんの呼びかけによって、30名の学生が集まりました。学生耕作隊の誕生です。報酬を、現金あるいは収穫物で受け取る有償ボランティア制、時給は700円前後に設定し農家と交渉していくことになりました。有償にしたことで、学生にやりがいと責任感が生まれます。
「集まってくれた人はみんな農業に前向きで、現場に出たいと考えていて、食や農に対する問題意識がとても高かったと思います」
設立発表会が地元マスコミに取り上げられると、地元農家からさっそく依頼が。初仕事が新聞にとりあげられると、また依頼が。こうして学生耕作隊への依頼は、順調に増えていきました。