地域に溶け込むコツは 「教えてもらう」こと
現在、「桜江町桑茶生産組合」の社員は18人。そのなかにはU・Iターン者もいます。しまね定住財団がサポートする産業体験の受け入れ側になっているのです。
そのほかに、地主や収穫作業を手伝う町の人など、約90人が組合員になっています。
「都市部で育ってきた私たちは、消費者としての経験はもっています。地元のみなさんは生産者としての経験があります。ご年配の方は、桑を育てた経験があります。だから地元の方に教えていただきながら生産してきました」
商品も広がりました。定番の桑茶のほか、手づくりジャムも新登場。北海道産の甜菜から採ったビート糖と煮詰めた、ほんのりあまいジャムは、パンに塗るだけでなく、ヨーグルトなどのトッピングとしても好評です。そのほか、桑の実をハチミツにつけ込んだ「桑の実ハニー」や、自然な風味の「桑茶飴」などもあります。
また、季節間の繁閑をなくすために、03年からは大麦、ハト麦の生産も行なっています。
古野さんは田舎暮らしのコツを「教えてもらうこと」と話します。
「地元の方が大切にしている価値観や心情を、最初からわからないのは当然です。でも、少しずつ学んで、理解していこうという姿勢は大切です。そうすればお互いに早く打ちとけられます」
10年前に田舎暮らしをはじめ、地元に学びながら桑栽培に没頭し、いまや桜江町にとってなくてはならない存在となった古野さん。どっぷり田舎暮らしならではの醍醐味を存分にあじわっています。
(取材・文:橋本淳司/2006年12月)