利用者同士、地元農家との交流が活発
米谷さんは、本格的な農業経験はありませんでした。
「小学校6年のときに疎開先で農作業を手伝ったくらいです。それからは製薬会社の工場勤務ですから、農業とは無縁の生活でした。でも、定年したら土に触れたい、農業をやりたいという思いが強くなっていったのです」
95年4月、新米農家の米谷さんは、さつまいも、なすび、きゅうり、トマトなどの夏野菜を植えました。不慣れな作業を手伝ってくれたのは、地元の農家の人でした。
「おかげさまで、いまではある程度、ひとりで農作物をつくれるようになりました。それも地元の人や先輩利用者のおかです」
利用者同士、利用者と地元の人の交流はとても活発です。
「収穫の後に、『いっしょに飲もうか』といって、誰かのコテージに行って鍋をしたり、夏には庭先でバーベキューをしたりととても楽しいのです」
交流イベントもたくさん企画されています。ほたる祭り、れんげ祭り、11月下旬に行なわれる収穫祭では、利用者が収穫した野菜を調理し、地元の人に振る舞います。関東だき、うどん、草餅、山菜おこわなどをつくり、利用者、利用者の家族、地元の人でいっしょに食べ、最後はカラオケで盛り上がります。
敷地内には交流センターがあります。ここに120名収容のホールや40名収容の談話室(サロン)と味噌や漬物加工できる加工室を備えています。さまざまなイベントで利用されるほか、ちょっとしたカルチャー教室も開かれます。たとえば、利用者で音楽教師をしていた人が、希望者に楽器演奏の指導をしてミニコンサートを開催したり、ヨガ経験者がヨガ教室を開いたり。
米谷さんは、これからクラインガルテンを利用される人にこうアドバイスします。
「できたら定年される前に利用をはじめるほうがいいと思います。50代の体が丈夫なうちに、農業をはじめて、いろいろな人と交流するのがよいでしょう」