活動年数:9年(前身の活動4年)
活動日数:約200日
活動エリア:仁淀川流域(いの町、日高村、仁淀川町、佐川町など)、吉野川流域(土佐町、本山町)、高知市及び東北地域(主に岩手県大槌町、宮城県気仙沼市、南三陸町及び周辺地域)
年間の参加人数:約2,000名。
受賞者の概要
受賞の内容
土佐の森・救援隊は、森林ボランティア活動を林業の入口として位置づけ、高知県の山村住民や都市住民に対して林業への間口を広げ、参入しやすい林業を形づくり、普及させ、地域雇用の倍増、森林・地域林業及び山村を再生させることを目的に活動している。
かつては当たり前だった「自分の山は自分で管理する」「自分ひとりで出来なければ、寄り合い(協働・地域コミュニティ力)で助け合う」ということを今一度、現代に取り戻し、小規模自伐林業を復活・再生させることに力を注いでいる。
自伐林業を可能とする技術的要素は主に3つある。チェンソー、林地残材集材・搬出システム(土佐の森方式軽架線による集材・搬出)、及び材を搬出する作業道づくりの技術習得である。定年退職者等の一般住民が本格的な森林整備(間伐・搬出・材利用等)を日々実践することによって「自伐林業は誰でもできる」ことを内外に示すとともに、平成21年からは高知県の受託事業として「副業型自伐林家養成塾」を毎月開催し、技術の普及に努めている。
また、木質バイオマスの利用システムを構築することで木材の販路を確保するとともに、森林ボランティア活動に参加した人に「モリ券」を発行することで活動への参加を促している。モリ券とは森林証券(森林を整備保全するための活動に参加したことを証明する券)の略で、地元の協力店で地場産品と交換することができ、地域経済活性化の効果も期待している。
その他、森林環境教育(学童や一般県民対象)、木質バイオマス利用推進のための薪利用、中山間地域の高齢者世帯への薪宅配事業(薪の代金は無料)、森林ツーリズム等を推進している。最近では、間伐材からベンチを制作し、その代金を高齢者へ宅配する薪の製造・配達の経費に充て、ベンチが古くなったら薪として再利用する「循環型薪ベンチ」を考案し、ユニークなアイデアと評判を呼んでいる。
こうした一連の「土佐の森方式」により、例えば仁淀川町では数人だった林業家を50人まで増やすことができた。この方式は全国の関心を集め、現在約35地区で導入され、29地区が導入を検討している。また、現在地元いの町内の企業による「土佐の森方式軽架線キット」が約100セット(20万円)で販売され、地域経済にも貢献している。
一方、東日本大震災直後、岩手県大槌町の吉里吉里地区に設置された避難所に「薪風呂」を提供したことをきっかけに、NPO法人吉里吉里国が設立され、土佐の森方式を導入した「復活の森プロジェクト」が始まった。これより他の被災地にもこうした土佐の森方式の「自伐林業」は広がりを見せ始め、自伐林業方式による被災地支援として気仙沼市をはじめ南三陸町などでの研修を実践している。