第4回(平成18年度)オーライ!ニッポン大賞
審査委員会長賞


NPO法人古瀬の自然と文化を守る会(茨城県つくばみらい市)


 特定非営利活動法人 古瀬の自然と文化を守る会では、茨城県つくばみらい市寺畑地区において、これまで湿地で水利管理が難しく放置されていた水田を地区住民の有志で環境復元を始めた事をきっかけに設立され、農村の環境や文化、生態系を復元し、エコミュージアムとして後世に伝えていくことを目的に活動している。新興住宅地の自治会や葛飾区博物館、葛飾区教育委員会等と連携し、復元した湿地の水田を活用して、農業体験学習、野外体験学習を行っている。

 特に葛飾区との交流では、子供たちによる「田んぼの学校」を通じて、葛飾田んぼ倶楽部ジュニアを立ち上げ、その活動を機会に、一般区民によるサポーター制を発足し、現在16名の区民が登録し、会員の生産している有機栽培米の販路にまで繋がっている。また、新興住宅地の自治会の希望で朝市を開催するなど、自然環境保全を契機とした交流が、地域経済の活性化や生産農家の意欲にまで波及している点が評価された。



NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター(長野県泰阜村)


 農山村の風土で培われた独自の暮らしの知恵や文化など、地域の持つ潜在的な教育力を重視したプログラムにより、子供たちが助け合いや自立性について学び合うことを目的に活動している。
 里山の自然や文化を活かした3泊~20泊程度の「山賊キャンプ」を実施し、この活動から魅力を感じた子供たちは、1年間の山村留学にチャレンジしている。

 体験活動の講師は地域住民が務め、有給。また生鮮食材は村内もしくは近隣市で購入するなど、地元に経済利益が循環する仕組みを作るよう工夫している。また自然体験プログラム内には、森林作業を組み入れるなど、地域の環境保全にも配慮している。

 本活動は20年を迎え、現在では年間1,300人以上が訪れている。また自然体験活動に従事している若者15名が村外から定住、本事業への関わりを契機に、グリーン・ツーリズム事業に取り組む農家グループが現れるなど、過疎化・高齢化の進む山村地域において、その貢献度の高い点が評価された。



しまなみグリーン・ツーリズム推進協議会(愛媛県今治市)


 平成12年のしまなみ海道の開通に伴い、しまなみ地域の豊かな地域資源を活用した体験交流などをビジネスとして進めることで地域の活性化を図ろうと、「しまなみグリーン・ツーリズム推進協議会」を設立し、「企画運営会議」、「産直市連絡協議会」、「滞在型体験学習会議」、「体験学習連絡会議」の各部会を置いて、それぞれが連携して活動を行っている。

 体験受け入れ等で学んだ経験とノウハウを活かし、加工活動等の起業を始める女性やグループが増加、さらには農家レストランの開業に発展する事例も多く見られている。

 しまなみ地域が一丸となって「しまなみの良さ」をPRしてきた結果、産直市販売額は、平成12年度の約6,000万円から17年度には9,500万円に、体験交流人口も平成13年度495人から17年度には9,476人に増加するなど、島という不利な立地条件を逆に地域住民が資源として魅力を再認識し、広域で協力し合いながら元気に活性化している点が評価された。