特定非営利活動法人体験観光ネットワーク松浦党及び松浦体験型旅行協議会では、長崎県北松浦半島地域を舞台に、体験者と受入側が互いに心高まる体験型観光「松浦党の里ほんなもん体験」を展開。民間主導のコーディネート組織である松浦体験型旅行協議会と、担い手からなる13地区の受入組織である特定非営利活動法人体験観光ネットワーク松浦党がネットワークを形成し、全国的にも類をみない組織体制による広域的な取組が行われている。1日最大2,000名が対応可能な民家泊と農村・漁村を舞台にした豊富な体験プログラムで、修学旅行生を中心にした受入れを行い、平成18年度には受入人数が年間1万人を超えるなど、担い手の生きがいづくりや地域経済の活性化に繋がっている。特に、「松浦党の里ほんなもん体験」では、生徒とインストラクター、生徒同士、また生徒と先生の共通体験による人間関係構築を目指して、ありのままの自然や暮らしの営みの中で農漁業体験を提供し、農漁村地域の生活そのものを体験できる民泊を進めており、このことが、受入家族やインストラクターの自分の生業に対する自信と誇りにも繋がって、地域に活力が生まれている。
また、農林漁業体験民宿に対して一定条件下で適用される長崎県の規制緩和措置を活用して、旅館業法に基づく許可取得を進めると共に、関係者に対して、保健所や消防署の協力を得て安全指導を徹底し、食中毒や体験時の事故等に対応した保険への加入など、安全で安心な体験メニューの提供を図り、このことが、修学旅行の受入人数の増加に繋がっている。
両団体が相互に連携して行う取組は、体験型教育旅行の受入として先進的なものであり、民間主体(住民主体)の取組に加え、地域の連携や行政の支援が図られ、地域住民に無理がない形で活動が組み立てられており、農漁業と体験型観光が一体化することで収入の安定化につながっている成功例といえる。また、地域の生業と結びついた新たな地場産業の創出いう点で今後の展開が大いに期待されるとともに、他地域においても参考となる事例である点が特に高く評価された。