第1回(平成15年度)オーライ!ニッポン大賞


武蔵野市教育委員会(東京都武蔵野市)


 武蔵野市は小学5年生と中学1年生全員を対象として、1週間程度、農山漁村に滞在して農業等の体験学習を行う長期滞在型のセカンドスクールを全国に先駆けて実施している。子供たちの自然や農山漁村の人々とのふれあいを通じた経験は大きな教育的な成果をあげており、その交流がセカンドスクール終了後も継続している。
 また、セカンドスクールは希望者を対象として行うのではなく、教育プログラムとして参加は義務と位置付けるとともに、学校教育の中で長期宿泊体験教育を行うための解決すべき問題点や課題を明らかにし、学校、教育委員会、受入先の三者が試行錯誤しながら解決していっている。その結果、セカンドスクールを実施するシステムも確立し、生徒を送り出す側として極めて優れた取り組みとなっており、大きな広がりをもって展開している点が高く評価された。



石河智舒(栃木県茂木町)


 石河氏は1960年代までは薪炭や葉タバコの生産が盛んだった栃木県茂木町元古沢地区がだんだんとその生産も衰退し、働き手が外に出ていってしまう状況を深刻に受け止め、ゆずに着目した地域興しに取り組み、地域住民の合意形成による地域ぐるみの活動として農家13戸全戸による「八講ゆず生産組合」を発足させた。平成5年にはゆずのオーナー制度を開始し、現在では600人を超え、1万本のユズが植えられ、年間2万人の観光客が集まるようになった。また、「ゆずの里かおり村」を開設し、都市住民を「かおり村の村民」とするなど継続的に交流できるシステムを作り出した。
 この取り組みにおける石河氏のアイデアと行動力は大きく、地域づくりのリーダーとして今の中山間地域に最も求められる人材である点が評価された。



九州ツーリズム大学(熊本県小国町)


 「九州ツーリズム大学」は、農山村でのツーリズム実践者やコーディネーター的人材の育成などを目的に多様な講師陣により、基礎から実践まで広くプログラムを実施している。その活動は全国に先駆け、より質の高いグリーン・ツーリズムを求め、ユニークな充実したプログラムに基づくグリーン・ツーリズムの担い手の人材育成を実施している。このことは全国的に見て模範的な活動として知られているところである。開校から7年、受講生は昨年度で900名を超え、この取り組みはパイオニア的存在であり、全国的に波及し各地でツーリズム大学の開校が相次いでいる。また、フィールドワークの講師として地域住民が参加するなどこの取り組みに地域住民が一体となって取り組んでいる点が評価された。



たざわこ芸術村・わらび座(秋田県田沢湖町)


 昭和52年から農業体験学習旅行を受入れて以来、26年間にわたり継続して実施している。専門のコーディネーターを配置するなど、近隣の農家と綿密な連携により、関東、関西の中学・高校など年平均10校1500人の生徒を、秋田県仙北郡、平鹿郡、河辺郡、北秋田郡にまたがる20市町村の農家300軒ほどで広域的に受入れている。この取り組みを通じて、農家の方々との温かいふれあいを経験するなど長年都市と農村の橋渡しに貢献しており、また、都会の子供たちと受け入れ農家の双方に活力や様々な効果が生まれてきている点が評価された。



農事組合法人伊賀の里モクモク手づくりファーム(三重県阿山町)


 農業生産から交流まで一貫した取組みであり、平成7年以降、農業を感じてもらう場、生産者と消費者、地域住民の触れ合う場としてモクモク手づくりファームを創設。
 その後、「農業」、「自然」、「手づくり」のテーマパークとして活動を展開し、「おいしさと安心の両立」したものづくりをモットーに、ハム・ソーセージ等の生産・加工・販売まで行っており、年間50万人の来園者がある。
 また、「手づくり体験教室」を通じて都市住民との直接交流が進む中で、高品質な商品開発と近隣市へのテナントレストランの展開、全国約3万世帯の会員組織など積極的な経営戦略へ繋げており、安定した事業基盤を築き上げている点が評価された。