活動年数:5年
活動日数:おおよそ 240日
活動エリア:福島県いわき市
活動拠点施設:法人事務所(いわき駅近く)
年間のイベント動員人数:3,101名(平成23年度)
受賞の内容
シニア人財倶楽部は、いわき市の都市部に住むシニア世代を中心に設立された団体で、会員が培ってきた様々な経験、資格、技術技能等を活かし、高齢者向けパソコン講座、自然と歴史を楽しむ健康ハイキングの実施など、様々な地域貢献活動を行っている。
平成20年、農業の担い手不足に悩む市内の中山間地域(三和町)で農業生産の支援を開始した。ねらいは、定年退職して時間に余裕があり、「田舎暮らしを疑似体験してみたい」、「農作業で汗を流したい」等のニーズを持つ都市部のシニアの力を活用し、遊休農地の解消と三和町の活性化に貢献すること。同時に、都市部の団地に暮らす高齢者で、日々の買い物にも困っている「買い物難民」を対象に、主に三和町で生産された米・野菜等を販売する定期朝市を開始。平成22年にはNPOとして県で初めて農地法第3条に基づく農地賃借が認められ、遊休農地60アールを再生利用して法人自ら農業生産を開始。さらに、車両を導入して買い物難民向けの「移動販売」も開始した。
三和町は、都市部から距離にして20kmから40km、時間にして30分から1時間の隔たりがあり、同じいわき市にありながら相互の交流は少なかった。このため、住民同士の心理的な隔たりの解消と、都市部住民の農業理解促進を目的に、紅葉祭りやそば打ち体験等の交流イベントや、農業体験等の活動を毎年実施(23年度の参加者数は延べ467名)。
東日本大震災の発生直後は活動中断を余儀なくされたが、ガソリン不足で移動できない住民から移動販売の再開を望む声が多く寄せられ、県外から食材を取り寄せて3月29日に移動販売を再開。その後、市内各所に仮設住宅が設置され、津波被害や原発事故の避難者が暮らす仮設住宅向けの移動販売も開始。現在は毎週5日、3つの団地と6か所の仮設住宅で移動販売を実施している。三和町の農業事業も、浪江町で認定農業者として活躍していた青年を採用し、少しずつ拡大している(24年度は1.8ヘクタール)。
福島第一原発事故に伴う風評を払拭するため、各種の復興イベントへ積極的に参加(平成23年度は計11回)。「いわき農産物見える化プロジェクト」の一環として市がネット配信している動画「見せます!いわき菜園」の制作に当たり、若手咄家たちへの農業指導で協力している。
今後も三和町と都市部との交流を拡大し、互いの長所を生かしあい、互いの課題を補いあいながら、共に健康で元気に生き生きと暮らせる明るい「いわき市」の実現に向け、活動を継続・発展させていきたいと考えている。
講評
団塊シニアの活躍が求められる時代にあって、都市部在住シニアを中心とする会員の経験や技術技能を活かし、中山間地域の遊休農地再生利用、都市部団地の高齢者(買い物難民)や東日本大震災被災者の仮設住宅への移動販売、風評被害払拭に向けた各種イベント等々を通じて社会に貢献している点が評価されました。