第10回オーライ!ニッポン大賞
千葉市教育委員会(千葉県千葉市)


[地域:関東]

受賞者の概要(農山村留学推進事業)


活動年数:12年
活動日数(平成24年度):
 23校が長野県内で4泊5日。5校が千葉県内で3泊4日。
受入地域(平成24年度):
[長野県:17市町村20地区]
 長野市(中条、信州新町、大岡)、松本市(四賀)、
 上田市(豊殿、室賀)、伊那市(長谷)、駒ヶ根市、
 飯山市、青木村、辰野町、箕輪町、飯島町、中川村、
 大鹿村、木祖村、生坂村、朝日村、筑北村、木島平村
[千葉県:2市]
 南房総市、鴨川市
平成24年度のホームステイを伴う参加児童数:約1,600名


受賞の内容


ホームステイをはじめ、農業、伝統文化、家庭料理、地元児童との交流等、様々な体験を行う。

 千葉市教育委員会は、市内全小学校の6年生を対象に「農山村留学推進事業」を実施。農山村を訪問し、宿泊を伴う共同生活や、自然と農林業等の体験を通じて、他人を思いやる心や社会性、自主性、創造性など「生きる力」を育むことが狙い。平成13年度の事業開始から12年目を迎え、参加児童は長野県だけで累計約1万人にのぼる。
 初年度は「農山村留学推進モデル校」に指定された7校の6年生全児童139名が、教育課程の中で長野県伊那郡長谷村(現伊那市長谷)を訪問し、長谷小学校児童との交流や現地での農業体験、化石発掘などの自然体験等、多彩な活動を6泊7日で実施した。高い教育的効果が得られたことから、平成17年度からは対象を全小学校の6年生に拡大し、千葉県内でも実施することとした。
 長野県で実施する農山村留学は、ホームステイなどを通じて児童が受入地域の人々と交流できることが特徴で、実施校は次第に増加している。12年目の24年度は23校1,181名の児童が、17市町村20地区で4泊5日のプログラムを実施した。25年度も同規模で実施する予定。
 子どもたちからは「本当の家族のように受け入れてくれてうれしかった」、「4泊5日も家族と離れて生活でき、自分が成長できたと思えた」、「多くの方と仲良くなれたので、ぜひまた来たい」等の感想が。保護者からも「子どもの笑顔から充実ぶりが伝わる」、「人への思いやりや社会性が身についた」、「たくさんの素晴らしい経験ができ、親としてもうれしい」等の喜びの声が寄せられている。
 この事業は、受入先の市町村の協力が不可欠。各市町村には担当者が設置され、千葉市やホームステイ先を含む関係者との連絡調整に当たっている。受入地域からも、「子どもたちから元気をもらった」、「自分たちの村と文化に対する自信がよみがえった」、「子どもたちからの心温まる手紙を何度も何度も繰り返して読んだ」、「地元の児童にとっても都会の生活や考え方に触れられる良い機会」等の好意的な評価と、継続的な交流を希望する声が寄せられている。
 千葉市教育委員会では、毎年度、長野県における農山村留学を通じて児童の意識がどのように変容したかを数値によって考察し、①友だちができる(他者受容感の向上)、②がまんと責任感が身につく(自律心の向上)、③自信がつく(自己有能感の向上)、④物事を自分で判断する(自己決定感の向上)、⑤自然等への気づきが身につく(感性の向上)、等の教育的効果が得られると分析している。
 平成24年度からは千葉県内で実施する農山村留学においても宿泊体験活動にホームステイを取り入れ、初年度は5校376名で実施。来年度は19校、約1,400名へ拡大し、長野県実施分と併せるとホームステイを取り入れた宿泊体験活動は2,500名規模に達する見込み。今後は千葉市の全ての児童がホームステイや訪問地の人々との交流活動を体験できるよう、事業の一層の充実を図っていく考え。


講評


 12年間にわたる活動の継続性、人口100万人の大都市ながら全小学校の6年生を対象とし、交流先である長野県の17市町村20地区と千葉県の2市との協働を支える組織力が高く評価されました。他の自治体にも活動が波及することを期待しています。