神奈川県と栃木県の高校生が、2泊3日の体験交流。
神奈川県の総合学科高校では、「夏季連携講座」の一つとして、栃木県那珂川町で2泊3日の体験交流を実施しています。地元の栃木県立馬頭高校の生徒と一緒に、廃校となった小学校跡に建設された宿泊施設に滞在し、農村でなければできない体験をしながら交流を深めています。
平成24年度は、1日目に近くの町有林で森林組合の協力を得て間伐を体験しました。2日目は、製材所を見学し、伐採された木がどのようにして木材になるのかを知り、前日の間伐体験と関連付けて考察する機会としました。また、国内で唯一の内面水産漁業を対象としている馬頭高校水産科実習場を見学し、那珂川を利用して飼育・研究されている魚類について学習。昼食は那珂川の鮎で郷土料理の鮎飯を調理して食べました。午後からは那珂川支流の武茂川で川遊び体験。馬頭高校水産科の先生と生徒が川遊びの安全から内容までをコーチしてくれました。さらに、「漆掻き」を生業とする方から、実際に漆を掻く場面を見せてもらい、現場でお話を聞きました。
最終日は那珂川産の木材を使って箸を製作し、都市部と農村部の高校生が「はしわたし」と称して互いの箸を交換しました。間伐から製材、箸の製作までを一貫した体験学習を実現できました。なお、期間中の食事は、猪肉や野菜など、地元の食材を活用して生徒が調理しました。
内容については、年度ごとのテーマを決めて実施しています。平成21年度は町有林の活用計画作り、22年度は町の特産物を利用した食事のメニュー作り、23年度は町の草木を寄せ植えして記念物を作りました。間伐体験、鮎飯づくり等は毎年実施しています。
交流を通じて、地域の良さや魅力を発見。
この交流活動は、神奈川県下の総合高校、馬頭高校、那珂川町教育委員会、那珂川町農林振興課、森林組合、日本大学の「協働」によって支えられています。日本大学からは教員1名、学生5名がスタッフとして参加し、プログラムの提案と連絡調整、神奈川の高校生への事前指導等を担当しています。
「継続」の秘訣は、生徒からの高い支持にあります。毎年大人気で、早い時期に募集が締め切られます。平成24年も、12名の定員を上回る16名が参加しました。「農村部の高校生と交流してみたい」、「森林や河川等での体験をしてみたい」等が応募の動機になっています。ちなみに、馬頭高校からも、生徒会本部役員を中心に水産科・カヌー部の生徒など、ほぼ同数の生徒が参加しています。
また、神奈川県の高校生たちとの交流を通じて、馬頭高校の生徒たちが地域の良さや魅力を再発見していることも重要です。那珂川町は有名な観光地ではなく、ごくありふれた農村ですが、神奈川県の高校生にとっては日常生活では得られないさまざまな魅力に満ちた空間です。例えば農村部の高校生にとっては何でもない川遊びが都市部の高校生にはたいへん魅力的に映ります。そうした都市部の高校生を見て農村部の高校生も川遊びという行為の良さを再発見しています。また、都市部の高校生がとれたてのトマトやキュウリを貪るように食べるのを見て農村部の高校生は驚いています。差し入れの自家製の米や味噌が、都市部の高校生にはたまらなくおいしく価値のあるものに思えます。馬頭高校の生徒に、地域に対する誇りと愛着が醸成されています。
また、神奈川県の高校生たちとの交流を通じて、馬頭高校の生徒たちが地域の良さや魅力を再発見していることも重要です。那珂川町は有名な観光地ではなく、ごくありふれた農村ですが、神奈川県の高校生にとっては日常生活では得られないさまざまな魅力に満ちた空間です。例えば農村部の高校生にとっては何でもない川遊びが都市部の高校生にはたいへん魅力的に映ります。そうした都市部の高校生を見て農村部の高校生も川遊びという行為の良さを再発見しています。また、都市部の高校生がとれたてのトマトやキュウリを貪るように食べるのを見て農村部の高校生は驚いています。差し入れの自家製の米や味噌が、都市部の高校生にはたまらなくおいしく価値のあるものに思えます。馬頭高校の生徒に、地域に対する誇りと愛着が醸成されています。
体験の時間を共有することが、コミュニケーションを深くする。
交流活動によって生徒たちの交流が深まるとともに、活動後も継続的な交流に育っていることも重要です。
最初は何を話していいかわからず自分の学校の生徒としか話をしない高校生も、次第に仲良くなりさまざまな会話をするようになります。会話の内容は、学校生活や放課後の過ごし方の違いから人間関係や趣味に至るまで多岐にわたり、交流を通じてお互いの地域の良さや課題を発見できます。これは単に両者が共同生活をするだけで得られるものではなく、間伐体験や川遊び等、那珂川町の自然と人を生かした体験的学習の時間を共有するからこそ交流が深まると思われます。活動中にメールアドレスや携帯電話の番号を交換したり、携帯電話のカメラ機能を使い、撮影した写真を送信しあいます。携帯電話というツールが神奈川県と栃木県の距離を縮めているのに大いに役立っていると思われます。
こうした交流の深まりが、継続的に発展し、活動後に個人的に那珂川町を来訪する生徒や、日本大学に進学して大学生スタッフとして活動に参加する生徒が現れています。