日本一の清流を舞台に、自然と農林水産業を学ぶ体験プログラム。
STEPは、次代を担う子どもたちに「生きる力」を身につけるための体験活動プログラムを提供しています。
例えば、夏休みに実施した「大樹かわあそびキャンプ」では、環境省の水質調査で過去8回日本一の清流に選定された歴舟川を舞台に、川流れ、飛び込み、ラフトボート、砂金掘りなどの水とふれあう活動を行いました。ライフジャケットやウエットスーツを装着することで、安全に長時間、川で遊ぶことができ、自然の雄大さや水の恩恵を肌で感じることができました。
秋の3連休に実施した「大樹まんぷくキャンプ」では、自然環境と農林水産業の関係について学ぶ体験活動を行いました。歴舟川の上流部で、山の幸であるコクワやぶどう狩りを行ったり、中流部で、農業者に直接指導を受け、カボチャの収穫や豆の選別などの畑作業や、肉牛のエサやり、牛舎の清掃などの畜産業を行ったり、下流・河口部で、秋サケの水揚げ現場の見学や、浜のお母さんに直接指導を受け、水揚げされたばかりの秋サケを使った解体作業やいくら作りを行ったりしました。山の森林が、保水力の維持や水の浄化につながること、浄化された川の水が農畜産業に利用され、私たちの食糧が生産されること、綺麗な川に魚や水生生物が生息し、秋サケも生まれた川に帰ってくることで漁業者の生活が営まれていることなど、自然環境と生態系の全てが繋がっていることで、私たちの生活が守られていることを学びました。
四季の移り変わりや、そこに生活する人々の暮らしに密着。
冬休みに実施した「大樹つるつるキャンプ」では、マイナス20℃を下回る十勝の極寒の早朝に、ワカサギ釣りができるホロカヤントー沼に行き、寒さに耐えながらワカサギ釣りを行い、農林漁家に2~3名に分かれて宿泊し、生産現場の体験やホストファミリーとの心の交流を図りました。子どもたちとホストファミリーはお互いに初対面で、最初は会話も途切れがちですが、ホストファミリーの心からの歓迎を受け、子どもたちもすぐに打ち解け、別れ際には涙を流す子も少なくありません。十勝の厳しい冬の寒さとそこに住む人々の心の温かさを感じる活動になりました。
春休みに実施した「大樹開拓キャンプ」では、大樹町で生産される食材を使ったピザとハンバーガー作りを行いました。農作業の手伝いをして、トッピングに使うソーセージや牛肉を調達したり、カラマツ伐採の現場で作業の手伝いして、ハンバーグを焼く木材を調達し、薪割りをしたりしました。労働の対価として食にたどり着けることを学び、他の生きものの命を頂戴して生活しているという「いただきます」の本当の意味について理解を深めました。
この他にも、日帰りの体験活動も開催するなど、北海道十勝が織りなす四季の移り変わりや、そこに生活する人々の暮らしに密着した体験活動プログラムを提供しています。十勝の豊かな自然環境や一次産業を活かした体験活動を通じ、子どもたちは、自然がもたらす恩恵を感じ、命の大切さ、食べものの大切さを学び、ふるさとを愛する心を育みます。また、体験活動によって子どもたちに学ばせたいもの(コンセプト)を明確化し、プログラムにストーリー性を持たせることで、子どもたちが達成感を得られるプログラム作りになっており、体験活動の豊富な指導者が参画することで、子どもたちのコミュニケーション能力を引き出し、自ら考え、気づきをもたらし、様々な困難に立ち向かっていく意欲や自立心を育みます。
これらの活動は、机上の学習とは違い、すぐに成績に反映されたり、効果が現れたりするものではありませんが、子どもが成長し、大人になっていく上で、必要不可欠な経験であり、将来の「生きる力」につながると思われます。
福島の子どもたちに屋外体験の機会を提供。
いわゆる「脱ゆとり教育」を志向する学習指導要領の改訂により、総合的学習の授業時数が削減され、学校教育として行う長期宿泊体験活動の時間がとりにくくなりました。こうした現状を踏まえ、STEPでは、学校の長期休業を活用した宿泊体験活動、第3土曜日に実施する日帰り体験活動、学校カリキュラムの一環として行う1泊2日の宿泊学習の受入れ等により、子どもたちに良質な体験活動の機会を提供しています。
また、東日本大震災による原発事故等の影響で、今もなお野外での自由な活動が制限されている福島県の子どもたちに、野外で思う存分に体を動かしながら様々な体験をしてもらう活動を受け入れています。平成23年から「ふくしまキッズ」の子どもたちを受け入れ、24年には大樹町と姉妹都市提携を結んでいる福島県相馬市立磯部小学校の子どもたちを大樹に招き、3泊4日の宿泊体験活動の受入れを行いました。
平成23年度は、年間25回、延べ800名の子どもたちの体験活動の受入れを行いました。
これらの活動は、経済効果もさることながら、農林漁業の生産者や、子どもたちの民泊を受け入れるホストファミリー、体験活動プログラムの指導者など、受入に関係する全ての人たちが、日々の生活に生きがいを感じ、社会への参画を自覚し、継続的に自己研さんに努めるなど、数字に表すことができない効果も表れています。