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平成29年度 第5回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【林業の現場作業を通じて若者を育成、若者の力で山村再生を目指す】開催結果

登壇者

特定非営利活動法人 トチギ環境未来基地 理事長 塚本 竜也 氏

1976年愛知県生まれ。広島県育ち。大学では森林資源科学を専攻し卒業後の1999 年米国シアトルで開催された6 ヶ月間の環境保全プログラム 「Conservation Corps」に参加。日本でもこのような活動をつくりたいと、2000 年にNICE職員となり、中長期ボランティア事業を開始。2003 年よりNICE事務局長(~2007 年)。 2005年より厚生労働省受託事業「若者自立塾・栃木」副塾長(~2010 年)。2009年より「トチギ環境未来基地」代表理事。 その他、特定非営利活動法人とちぎボランティアネットワーク理事、一般社団法人栃木県若年者支援機構 副理事長、特定非営利活動法人日本環境保全ボランティアネットワーク 理事 栃木県社会貢献活動促進懇談会委員など。共著に「よみがえれ里山・里地・里海」築地書館がある。

セミナー開催報告(2017年10月11日開催)

活動の出発点は「地域の人達の想いを形に」

里山で小さな仕事を創るチャレンジで変えていきたい!

平成29年度 第5回(通算第124回)農山漁村コミュニティ・ビジネスセミナーは、第14回 オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)を受賞した取り組みです。

特定非営利活動法人 トチギ環境未来基地は、栃木県の芳賀郡及び宇都宮郊外を中心に8つの里山フィールドで活動しています。

人手不足で荒廃が進む中山間地域の里山や森林を若者の力で再生するなど、実践活動を通じて次の世代を担う若者を育むことを使命として、林業の現場作業を通じて若者を専門的な技術を習得することで、山村や農村への移住の促進に結び付けています。

例えば、「若者のチームによる長期間滞在型の森づくり活動プログラム」では4~6名の若者たちが共同生活をしながら近隣の森へ赴き、中山間地域での森づくり活動や地元の人たちとの協力・交流を通じて新たな発見や気づきを得て成長することを目指しているのです。

林業や山村への幅広い関心や社会貢献をしたい人を受け入れるためには、専門家養成のみならずボランティアも受け入れる日帰り、週単位、3か月と選びやすい多様なプログラムを用意して、間口を広くとっており、平成21年から取組を開始して以来、7年間で1万3千人を超えるボランティアと活動を行っています。

また市貝町では、廃校になった小学校の裏にある学校の森を再生し、子どもが安全に楽しく遊べる学童保育の森としても活用されるなど、地域との連携も図り平成28年度は、年間延べ2,025人(栃木県内での活動)が参加しています。

理事長 塚本 竜也 氏は、2つの思いをもってNPO法人を立ち上げました。

ひとつ目は、荒廃の一途をたどる日本の森林を市場経済の力だけでなく、市民の力で保全していく方法はないか。二つ目は、日本の若者の力を引き出し、行動力ある人材を育て、地方の過疎化や高齢化の問題解決ができないか。

そんな時にアメリカのConservation Corps(コンサベーション=保全・コア=隊)という若者が1年間チームを組んで環境保全活動に取り組むプログラムに出会い、自ら平成11年に参加。帰国後、日本の風土にあったプログラムを立ち上げたのがトチギ環境未来基地です。

何が若者をそれほど引き付けるのか、長期滞在型プログラムに参加した若者は、

平成21年からこれまでに61人が参加し6人が栃木県に移住、21人がNPO法人などに就職して林業や若者支援、環境等の仕事に携わっています。

人手不足で荒廃が進む中山間地域の里山や森林を若者の力で再生するモデルとして高く評価されています。

第5回セミナー事務局のまとめ

アメリカのConservation Corps(コンサベーション=保全・コア=隊)という若者が1年間チームを組んで環境保全活動に取り組むプログラムとはなんでしょうか。
フランクリンルーズベルトというアメリカ大統領の時代に1930年代に世界恐慌があり、多くの労働者が失業し社会問題となりました。特に多くの若年の失業問題は深刻で、高等学校を卒業しても就職できない状況にアメリカ政府は、ニューディール政策の一環として、合宿(キャンプ)を通じて職業訓練を施し、道路建設、土壌保全のための小規模なダム(堰)造りなどの公共事業や、森林の伐採、植林などの国立公園の維持管理作業に従事させる「民間人保全部隊(Civilian Conservation Corps)」が発足しました。
これにより国立公園や国有林の整備(高速道など道路整備、ダムづくり、森林伐採、植林等)が図られ、その後のアメリカ人の車で国立公園に等に行く素地を作りました。また、失業対策、職業訓練として評価されました。ユニークなのは、月30ドル支給のうち、25ドルほどが家族に直接支給されたそうです。仕送りですね。最盛期には、50万人を超える若者が参加しましたが、第2次世界大戦が始めると軍隊に若者が採られ予算策削減など下火になります。
1966年には、ミッション66という国立公園の利用促進の10年計画が出され、公園内の設備整備、道路整備が進められますが、その後開発による自然環境の破壊という批判もあり、
 自然の保全と利用の相反する考え方のバランスのうえでの施策が進められます。
特定非営利活動法人 トチギ環境未来基地 塚本 竜也 理事長は、荒廃の一途をたどる日本の森林を市場経済の力だけでなく、市民の力で保全していく方法はないか。日本の若者の力を引き出し、行動力ある人材を育て、地方の過疎化や高齢化の問題解決ができないかと考え、アメリカのConservation Corpsであるシアトルのアースコープに参加して、平成11年に参加し日本の風土にあったプログラムを作りトチギ環境未来基地をスタートさせました。
活動の出発点は、「地域の人たちの想いを形に」すること。持続的に展開するためには、関係人口を増やすことが大事で、森林や林業に関心も経験がない人でも、参加ができきるプログラムや参加に興味をもってもらう工夫をしています。
そうした活動の指針は、他の中山間地域にとっても大変参考になる要素が多々あります。
例えば、「お年寄りが苦手な部分、若者の得意な部分をつなぐ」、「いかに興味のない人を引っ張り込めるか、参加の機会を増やす工夫」「いろいろな若者、大学生に参画してもらう工夫」「新入社員研修をオンデマンドで企画する」といったチャンスを増やすための企画力を生かすと、森林保全にのみならす地域振興を通じて収入を得るビジネスのチャンスが今後ますます広がっていくだろうと考えています。
 ボランティアによる里山保全活動であり、また若者のキャリアアップにもつながる人材育成の面もあります。トチギ環境未来基地の3か月のプログラムに参加すると、指示・命令待ちではなく、地発的に動く、市民活動の手法を学べるとして参加者の評価も高くなっています。人材育成の面で優れているところは、チームで取り組むことによりリーダーシップ能力が高まり、また参加者個々の主体性のスイッチが入りやすくなるということです。
 地域興し協力隊など若者の中山間地域での活動が広がっていますが、自立的に活動を行なえる人材育成には、地域の人と一緒に取り組むなど必須となっていることから「チームで取り組むリーダーシップ」、「主体性のスイッチ」が極めて重要なスキルとして今後ますます期待されます。そして「山村地域にある資源を使って、あるいは組み合わせて新たな仕事をつくる。新たな仕事を開拓していくための企画力など森林技術だけでなく、総合的な人材育成を通じて、里山で小さな仕事をどんどん増やしていいきたい」塚本理事長は夢をアツく語りました。

※ Conservation Corpsについてご関心がある方は、
 『米国 Conservation Corps 調査研究報告書』平成20年8月

 米国 Conservation Corps調査研究委員会事務局
   NPO法人 NICE(日本国際ワークキャンプセンター)
  を検索して、ご覧ください。

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