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平成28年度 第4回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【地域農業を守り、雇用も生む「農業公園」】開催結果

登壇者

奥田 哲生 氏

(株)農業公園信貴山のどか村 代表取締役社長  奥田 哲生 氏

1949年10月3日生まれ67歳。 1972年3月  近畿大学経済学科を卒業し、(株)三田工業入社、サラリーマンを務めたあと、1975年4月 三郷町商工会 経営指導員、1989年3月退職して、1989年4月 有限会社フケン設立 代表取締役就任して現在に至る。1992年4月 (株)農業公園信貴山のどか村取締役就任、2008年6月からは、代表取締役就任し現在に至る。

セミナー開催報告(2016年9月14日開催)

コストを考え事業を推進する

 平成28年度第4(通算114回)農山漁村コミュニティ・ビジネスセミナーは、奈良県三郷町の信貴山のどか村の農業公園の経営がテーマです。信貴山は、飛鳥の都時代から難波との交通の要所であり、大都市に近い有利性もありますが、逆にそこことから農業よりも勤め人として農家の後継者が減っていき、耕作放棄地問題になる前から畑が荒れてきました。また小高い山の谷地や傾斜地が多く、機械による耕作等が不向きな場所でした。
こうしたことから農業と農地を守るために農家が結束して会社を作り6次産業の走りとなる農業を活かした取り組みを進めてきました。28年間運営している農業公園は、自ら加工品も生産・販売し、季節ごとに花や味覚狩りが楽しむ一貫したサービス提供で、地域農業を守り、雇用も生むことを成し遂げています。知恵を絞り、アイデアを考え、実践するという柔軟な思考、「信貴山のどか村」の取り組みの軌跡から農業者による6次産業化の有り方と地域における雇用や事業の進め方の日々の農山漁村コミュニティビジネスについて講義していただきました。

 

第4回セミナー事務局のまとめ

信貴山のどか村は、奈良県と大阪府にまたがる生駒山地の信貴山の標高350mに位置する40ヘクタールの広さを持つ農業公園です。
 全国3番目の農業公園として1987年に設立し、1992年から営業を開始しました。当時は、農業を継ぐ者が少なく地域の農地が荒れていたことから、地域の農業を守るために「観光と農業」を結び付ける事で集落が一致して活動をと始めました。
 開園以来のキャッチコピーは「心豊かな自然と食を体感しませんか!」。集落での話し合いを通じて、集落全戸約40余りの農家が社員となり有限会社にしました。当時流行っていた第三セクターではなく、会社形式にしたのは、経営に責任を持ち、赤字にしてはいけないという背水の陣の気持ちで臨んだからです。 さらに、株式会社に変更しました。これは、公に頼らず自分たちで経営に責任を持ち自ら生産・販売活動を行い、利益を分配する事を考えたからです。
 お金を稼ぐことは難しいことです。きちんとお客様と向き合い、喜んでもらえるモノやサービスを提供しなければ、二度と来てくれなくなります。以来、地域の野菜や果樹を育て、来場するお客様に「味覚狩り」を楽しんでもらうと同時に、農業公園で一日中楽しんでもらうために、フラワーパーク、アスレチック、ミニ動物園、デイキャンプ場等併設しながら生産、加工、販売、体験と知恵と工夫を出しながら継続しています。
 信貴山のどか村は、役場が施設を作り、我々農家が民間企業を作って事業運営をしていますが、赤字経営は許されないと思っています。とはいえ、農業や自然に左右されるものなので、作物の出来具合や天候による来客数の見込みなど大変なこともあります。
 また、一次産業の農作物を無駄にしないためにも、加工の2次産業化が必然的に重要になると同時に、それを提供する体験やレストランなどの3次産業化のサービスの展開が大事です。
 信貴山のどか村は、農業、農地を守りながら、コンサルタントや専門業者に頼らず、自分達で考え、施設なども出来るものは自分で作り対応しています。そのことが自分たちの自信にもつながり、また実施するノウハウも着実に蓄積されるものだと思います。
 大都市近郊に農地があるということは、集客に有利である反面、農業から離れていく機会も多いということにもなります。
 農地を守り、農業を都市の人々に提供し事業を起こすには、都市の人々の求めるものを察知し、農業のある空間を最大限に生かす努力が日々重要です。日々の対応から経営の方針まで経営者としてのノウハウを皆で共有することが非常に大事です。

講演する奥田哲生氏

信貴山のどか村のWEBサイト

信貴山のどか村のWEBサイト

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(まちむら交流きこう)
まちむらセミナー事務局
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