ホーム > イベント・セミナー > まちむら交流きこうセミナー > 平成28年度 第3回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【エコツーリズム、グリーン・ツーリズムによる新たな産業興し】開催結果

平成28年度 第3回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【エコツーリズム、グリーン・ツーリズムによる新たな産業興し】開催結果

登壇者

山城 定雄  氏

沖縄県地域づくりネットワーク 副会長 :沖縄県地域づくりネットワーク 副会長 山城 定雄  氏

沖縄県地域づくりネットワーク副会長&運営委員長(2013~) 総務省地域力創造アドバイザー(2014~) 沖縄国際大学 沖縄経済研究所 特別研究員(2010~) 「九州・山口地域づくり人材ネット」登録者(2016,7) 2000人足らずの小さな村で30年余、地域プランナーとして企画実践。この間、つつじ祭りやダム祭り、夏祭り等の村の主要イベントの企画・運営をはじめ、「交流」をキーワードにした村の21世紀ビジョンの策定。村民の森整備構想など地域資源を生かしたエコツーリズムやグリーン・ツーリズムなどの体験型観光の企画実践。都市部の子どもたちの体験学習を受け入れる「セカンドスクール」やダム湖を生かした自然観察船の運行、宮里藍写真付き切手の発売など仕掛け人。 役場退職後は、地域の団体活動支援を目的に県や市町村、民間団体などが組織する「沖縄県地域づくりネットワーク」副会長としての活動の傍ら、地域プランナーとして培ったノウハウを生かして、各地で地域おこし等の講演や県内外の力をもった人たちとの人脈ネットワークを生かした「地域が元気になる“タネ蒔き“」奔走中。 【趣味】 自然案内(ガイド)、新聞スクラップ(40年余)、貝収集、写真(県展入選・郵政省のふるさと絵はがきにも採用されたことがある) 好奇心旺盛のマグロ人間。現役時代は“年中無休“、現在は”“年中夢求”。

セミナー開催報告(2016年8月3日開催)

地域活性化の現場では、情報戦が官民一体的な事業の成否に関わる

東村の平均給与は、平成8年に比べ1.8倍。交流事業により村は豊かに

 平成28年度第3(通算113回)農山漁村コミュニティ・ビジネスセミナーは、沖縄本島北部やんばる地域で、エコツーリズム、グリーン・ツーリズムによる新たな産業興しをした、元東村企画課長の山城定雄氏をお招きし、沖縄の豊かな自然のなかで地域の産業をどのように興していったか、誰も取り組み方法を知らない時代に先進的に取り組み、官民一体となって産業づくりに取り組んだ元気のでる話を伺いました。

沖縄本島北部にある東村は、かつては林業依存の貧しい村でこれといった産業も知名度もありませんでした。1990年の基幹作物のパインアップルの自由化やバブル崩壊後の農業を取り巻く環境が厳しい状況におかれ、農業の再生を図ることが緊急の課題となったのです。また、山野に自生していた「つつじ」も開発や盗伐により絶滅が心配されていました。

そこで、村民総参加により6年の歳月をかけて手造りの「村民の森つつじ園」を完成させ、今では「東村つつじ祭り」は沖縄の春を彩るイベントとなりました。

さらに、東村では地域の宝(資源)を見出し、付加価値を高める手段としてエコツーリズムやグリーン・ツーリズム等の体験型観光と農業の両立による持続可能な交流型農村をめざした取組みを目指し、1999年にはエコツーリズム協会、2000年にはブルーツーリズム協会、2004年にはグリーンツーリズム研究会、2005年には観光推進協議会を設立して、官民一体の取り組みのきっかけを山城氏が取り組んできました。 

山城氏は、東村の企画課長、企画観光課長を歴任し、足元の地域資源の付加価値を高める自然体験滞在型観光などの取り組みを行政と民間の協働の取り組みを推進してまいりました。

 この活動が評価され、東村は、「2003年 地域づくり総務大臣表彰(団体)」「2004年 過疎地域自立活性化優良事例表彰「総務大臣賞」(団体)」「2005年 オーライ!ニッポン大賞「審査委員会長賞」(団体)」「2006年 内閣府沖縄総合事務局 沖縄振興功績者表彰(個人)」など受賞しました。

 成功するまで先例が乏しいなか、手探りで地域の人と取り組んできたその原動力と沖縄やんばるの魅力をじっくりとお話しいただきました。

第3回セミナーのレジュメと第3回セミナー事務局のまとめ

  沖縄県東村は、人口1,900人余りの村です。

グリーン、ブルー、エコの3つのツーリズムを連携させ、地域資源を総合的に活用している点を高く評価されて、NPO法人東村観光推進協議会が平成26年度第12回オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)を受賞しました。年間の売り上げは1億円余り、6名の常勤職員の法人に成長し地域にはなくてはならない存在となっています。

東村の交流人口、売上を大幅に押し上げているのが、自然を活用した各種体験プログラム。沖縄県への修学旅行は、年間45万人、2,555校(平成26年度 県観光政策課調べ)ありますが、沖縄本島北部の東村は、体験型修学旅行の受入に力を注ぎ年間約1万人。1億円の売上を出しています。

主な体験プログラムには、「慶佐次川カヌーとマングローブ自然観察」、「海人(うみんちゅ)イシミーバイ釣り体験」「紅型染め体験」、「沖縄料理体験」「三線体験」「琉装・琉舞体験」などがあり、農家に民泊しながら、農作業や生活体験等を行います。また隣の大宜味村と国頭村と広域的な連携体制を構築している点も特徴です。
 

レジュメ

第1部 

・自己紹介

・沖縄、やんばる、東村の自然や歴史、

 文化など

・エコツーリズム、グリーン・ツーリズムを地

 域に根付かせるために行ったことなど。

・その他

   ・2回オーライ!ニツポン審査委員会長賞&12回グランプリ賞を受賞した取り組みと現在の活動

 第2部

・花開いた活動の成果

・まとめ

・他地域へのメッセージ等

  

  ガットウルグアイラウンドで、農業の中心のパインアップルが自由化され、農業が壊滅的な影響を受けるとされた。今またTPPで同じような議論があるが、東村は地域が生き残るために豊かな自然を活かした交流事業にしかないと活路を求めた。

  当時、リゾート開発等が話題にのぼったが、外の資本で外から来た事業では、村は決して良くはならない。村を良くするには、村人自身が取り組めるものでないとと思った。

  私は、パスポートを持って、上高地などの長野へ修学旅行に行き、その豊かな自然に憧れた。

  その後、大好きな長野に行きやすいからと名古屋の大学(夜間)に進学した。高校時代から夜間部に通い、昼は働いていた。その後名古屋の企業に就職したが、当時の村長が戻ってこいと連れ戻された。村長に就任した新村長は、山野に自生していた「つつじ」が開発や盗伐により絶滅が心配されていたので、それを植えて保存するために公園事業を考えた。

  そこで、村民総参加により6年の歳月をかけて手造りの「村民の森つつじ園」を完成させ、今では「東村つつじ祭り」は沖縄の春を彩るイベントとなった。

  公園を作るハード事業は、役場は得意だが、ソフトである「つつじ」の植林は予算もなく、小学生からお年寄りまで村民ぐるみで取り組んでもらった。この経験が後々の交流事業にも生きてくる。

  外部からの資本や、企業が取り組むと利益も全て村外に行ってしまう。また、経営が悪化すればすぐに撤退する。それでは地域づくりにはならない。

  住民の雇用や収入に結び付き、官民が一体となってできることは無いか、これを足元の資源を見直し、エコツーリズム、グリーン・ツーリズムに結び付けていった。

  それでも、住民の理解を得るのは大変だった。そもそもエコツーリズムってなんだ。すぐに行政はカタカナ言葉を使う、日本語でわかるように説明せよと数限りなく言われた。

  それでも、座して自然死を待つのか、何か行動を起こすのかと問われれば行動あるのみ。自然を活かした村づくりしかないと信念をもって取り組んだ。

  こうした取り組みを支えてくれたのは、地域の人々であり、さまざまな立場で応援してくれた人脈だ。私には何もないが人脈は財産だ。

  今から20年ほど前に「まちむら交流きこう」の前身である「ふるさと情報センター」が調査に来て、将来ビジョンを説明しているが、その後全くぶれていない。そのころの想いを実践続けてきたのは東村くらいだけではないかと思うくらい、ぶれずに取り組んできた。

  構想を説明するときに、農業所得を月に10万円ほど交流事業で副業所得を得ると関係者に話したが、そんなのは無理だと言われたが現在、農家平均約10万円交流事業(農家民宿)で得られるようになり、達成している。

  農業もパインアップルのブランド化に努め、贈答用に15000円の高級パインアップルを出している。また、地域の農産物に付加価値化をとパインアップルの加工施設を起動し雇用にも寄与している。

  観光交流人口は、平成25年で291,038人となり、村内の起業家も32事業者、雇用は307人となっている。東村の平均給与は、平成8年に比べ1.8倍。平成25年時点で沖縄県平均210万円に対して、275万円になるなど交流事業により村は豊かになっている。

  山城さんは、一つの部署、一つのプロジェクトにとどまってきたわけではなく、様々な部署へ移動して、当該部署の使命を遂行しつつ、村のために、地域のために、関連性を持とうと志向しつつ行動していた。教育委員会へ異動してときも、学校関係者への接触と教育的なプログラクづくりへ支援と仲間づくりを図り、それが今日の東村の修学旅行受入の圧倒的な実績に結び付いていることを誰もが納得できる。

  商工会へ漁協などへの説明や説得のノウハウを問われ、何度も時間をかけてわかりやすく説明し、やってみようという気にさせること。また土日に体験のインストラクターなどを行うのを手伝うなど日頃の人間関係を大切にするという地道な活動が大事なことだとわかる。

  人脈の重要性の一つに、広報活動があげられる。さまざまな活動を先進的に行う際、まだ大きな成果が出ていないときでも、行政機関の広報やその関係筋からの紹介で、積極的に取り上げてもらう機会(無料)が増える。こういうところでの広報掲載は、公的な機関のお墨付きを頂戴したともいえ、後々にも大きな効果が出てくる。なぜならば、自前の広報よりもより広範囲への認知効果が高まるためである。これも東村の修学旅行受入の受入に有利に働いたということができる。

   東村は、沖縄一の水源地域であり、日本一のパイン生産地であり、九州一のつつじ園が自慢。

講演する山城定雄氏

東村のプロモーションビデオ(you tube)画面をクリックすると動画が再生します。

東村のプロモーションビデオ(you tube)

 

この前の農山漁村コミュニティビジネスセミナーの結果は、

看板をクリックしてください。平成28年度 第5回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【廃校を再生した交流施設継続事業と雇用創出を目指す】の開催結果に跳びます。

お問い合わせ先

(一財)都市農山漁村交流活性化機構
(まちむら交流きこう)
まちむらセミナー事務局
(seminar@kouryu.or.jp)

〒101-0042 東京都千代田区神田東松下町45 神田金子ビル5階

TEL
03-4335-1985
FAX
03-5256-5211

お問い合わせ