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平成28年度 第2回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【出荷できない高齢農家の集荷を助け、補助金に頼らない農産物直売所】開催結果

登壇者

菱沼 勇介 氏

エマリコくにたちと 代表取締役 菱沼勇介 氏

マリコくにたちは農業活性化を目指すソーシャル・ベンチャーとして若者3名が2011年に起業、営業に係る資金は各自の貯金と金融機関からの借入れで調達しました。 代表の菱沼社長と渋谷副社長は大学の経営学科を卒業後、ビジネスになり得る地域活性化のため、都市の農業・農地を次世代につなぎ高齢・若年を問わず都市農業者がやりがいを持てる販路を生みだすために「東京に住みながら、毎日の食卓に朝どれ野菜を。」をキャッチフレーズに、都市型農産物直売所等を開設しました。 活動エリアの国立・国分寺・立川・日野には農協による共同出荷機能がなく、高齢者を含む農業者がやりがいをもって出荷できる販路が求められていました。このため、エマリコくにたちは4市の農家80軒をネットワーク化した駅前型直売所事業や飲食店事業を運営しています。駅前型直売所は3店舗を展開するほか、国立市内に飲食店(ワインバル)、日野市内のスーパー内に地場野菜コーナーを設け、計5か所の販売拠点があります。補助金に頼らない民設民営を旨とし都市部の高家賃の施設を借りても黒字化を達成しています。

セミナー開催報告(2016年7月6日開催)

補助金に頼らない民設民営を旨とし都市部の高家賃の施設を借りても黒字化を達成しています。

手数料をもらう直売所と、買取の直売所だと何が違うと思いますか?

 平成28年度第2回(通算112回)農山漁村コミュニティ・ビジネスセミナーは、 農産物直売所をテーマに新しいビジネスモデルを提案するエマリコくにたちの代表取締役 菱沼勇介氏をお招きして開催しました。
 
株式会社エマリコくにたちのエマリコとは、「縁」を作り、「街」を育て、「利」を生み、 社会 に「貢献」するを意味する造語です。
「第13回オーライ!ニッポン大賞」を受賞したビジネス感覚にあふれた新しい取り組みは、大都市だけでなく、 農山漁村地域の直売所にも参考となる視点が多々あります。

 販売が有利な大都市東京において、取り残された高齢農家の販売先を確保するとともに、新鮮で安全な農産物を持つ都市生活者にダイレクトに提供するビジネスモデルは、補助金に頼らない民設民営で経営し、売上も店舗数も順調に伸びています。農家も販売に専念ができ、大喜びの「第3世代の農産物直売所」「背景流通」という農業を守る新た強い風を起こしています。

第2回セミナーのレジュメと第2回セミナー事務局のまとめ

 
 

レジュメ

≪都市農業を元気にする流通戦略 直売所は第3世代へ≫

第1部 シャキシャキ、ベンチャー。エマリコくにたちの取り組み

              5分でわかるエマリコくにたち

              集荷型 × 買取型 × 駅前型   /   民設民営

              このライン、どうしますか?

              都市農業の特徴 4つの「ない」/多様性/多様な機能

第2部 エマリコくにたちが目指す「第3世代」直売所

              直売所の不都合な真実

第1世代 90年代から急増 ロードサイド型の共同大型直売所

              第2世代 価格・品質をコントロールできる直売所

              第3世代 集荷型・買取型の直売所 供給を調整する直売所

              鮮度の定義

(おまけ)直売所・産直業界はこれからが面白い~事例集

  エマリコは、全て買取です。だからリスクを背負ってビジネスをしています。

  手数料をもらう直売所と、買取の直売所だと何が違うと思いますか?

  農家の意欲が違います。売れ残るのが嫌だと、どうしても出荷量をセーブしますが、うちは、全て責任をもって売りますので、農家はどんどん出してきます。

  それが直売所の経営にどう影響がでるのでしょうか?

  午前中で売り切れという直売所が良くありますが、うちは夕方の買い時にも野菜があります。

  野菜が売れると、農家は来年の作付量を増やそうと考えます。

  でも、どのくらいの量にしますか?1.5倍、2倍、4倍?

  これは農家にはわからないのです。仮にきゅうりが売れたからときゅうり農家が、皆、勝手に量を増やすと。とんでもない量になり、売れ残り⇒値崩れを起こします。

  どれくらいの量が適切かというのは、直売所の販売員が一番知っているのです。

  近くにスーパーで出来て、直売所とスーパーの競争が激化します。

  その場合、直売所とスーパーの違い、直売所の有利性は何かを考える。

  それは、鮮度でしょう。でも朝採りとどこも謳ってますが、本当ですか?

  自分のところは、「背景流通業」だと思っています。単に野菜を提供しているのではなく、背景まで伝えるのが役割です。

  農産物直売所業界の発展は、お客様との接点である販売スタッフの力量に掛かっています。

  差別化は大事です。でも美味しいものを作るというのはどこでもやっています。だから、どれだけ美味しいかというのが大事なのです。倍の価格で、倍美味しいでは、死筋商品です。・・・・・・・・・・・・・・・・。

  美味しさと価格のバランス。農産物の差別化はどこもできますが、利益を出すにはコスト優位性が胆です。

  コストの削減には、集荷コストが・・・・・・・・・。

  「(おまけ)直売所・産直業界はこれからが面白い~事例集」として挙げた例では、大手デパートに産直で請け負っている組織がいつつか出てきています。店舗では、どこの会社がやっているかはわからないようになっていますが、スーパー等から丸ごと委託され、なかなか効率的なことをやっています。

  すぐできる差別化、お金をかけるとしたらパッケージデザインですね。これは効果でますよ。

  いくた美味しい、特別美味しいと思っていても、消費者に手に取ってもらわないと始まりませんから。

  パッケージデザインの良さで確実に売り上げが向上します。宣伝費にお金をかけるなら、パッケージにお金をかけましょう。

(文責 事務局)

 

 

セミナー終了後、講師の菱沼氏と名刺交換の順番待ちの行列

 

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