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平成22年度アフリカ等農業・農民組織活性化支援事業の概要

平成22年度アフリカ等農業・農民組織活性化支援事業の概要

当機構では平成22年10月11日から29日までの3週間、ケニア、タンザニア、ザンビア及びアフガニスタンの農民組織のリーダー等を対象として、農民組織の育成力及び組織運営と組織活動の企画運営力等を強化するための研修をザンビアと日本で実施いたしました。その概要をご報告いたします。



事業の目的

貧困と食料問題の解決に向けて

 アフリカ諸国等の開発途上国における貧困・食料問題の解決のためには、農民の大部分が小農であることから、農民組織の育成と強化を通じて農業・農村の発展を図ることが重要です。
このため、農民組織の発展が初期段階にあるアフリカ諸国等から事業実施対象国として、タンザニア、ケニア、ザンビア、アフガニスタンの4カ国を選定し、 我が国の農民組織が有するノウハウを移転することにより、対象国における農民組織化の促進や組織運営能力、組織活動の企画・運営能力の向上を図るための研 修を実施しました。

農民が自律発展できる組織をめざして

我が国の農民組織は、組織率の高さ、事業量の大きさ、事業の種類の多様さ、全国組織と都道府県組織により構成される全国レベルの支援ネットワーク等、世界 に例をみない高度な体制を構築してきました。しかし、途上国と我が国では農村をとりまく経済的社会的な環境が大きく異なることから、我が国の完成された農 民組織のあり方をそのまま移転することは簡単ではありません。
一方、アフリカの農村では独自の農民組織化の動きが芽ばえつつあります。それらの組織は、10名から20名程度の人数で構成され、相互金融によるマイク ロクレジット(注)と学習活動を特徴としており、我が国にかつて存在し、現在の農民組織の基礎となった「報徳講」や「無尽講」といった組織や活動に類似し ています。
このため、本研修においては、第三国研修を対象国のうちザンビアを開催地として開催し、アフリカ3カ国における自律発展型の農民組織の経験を研修参加者 全員と共有しました。これにより、「海外からの援助がなくてもできる発展モデル」と「自国の住民が持つ潜在的パワー」について“気づき”を得るとともに、 自律発展型モデルの重要性を実感することができたと思われます。
また、日本における研修では、相互金融と学習活動をベースにした農業・農民組織を、より組織的(システマチック)に、全国規模で発展させてきた日本の経 験を学び、対象国の経験と比較することにより、農業・農民組織の設立、企画、運営の能力の向上に向けた研修を実施しました。

(注)ケニア、タンザニア、ザンビアにおけるマイクロクレジットについて

本研修の対象として選定したケニア、タンザニア、ザンビアでは、メリーゴーラウンドやテーブルバンキングなど、相互金融によるマイクロクレジットの取組が急速に拡大しています。
国や地域によって具体的な姿は異なりますが、概ね次のような特徴をもっています。
いずれの取組も、コミュニティなどの少人数のグループが運営し、構成員は定期的に(たとえば毎週1回)資金を拠出します。メリーゴーラウンドの場合は構成 員が順番に集まった資金を受け取ります。我が国の無尽や頼母子の活動に類似しています。テーブルバンキングの場合は、集まった資金を構成員に貸し付けま す。構成員は受け取った資金で子どもの就学や小規模ビジネスの起業等に利用しています。
なお、タンザニアではVICOBA(Village Community Banks)という名称がよく用いられます。

研修員の人選

農民組織のリーダー等を招へい

研修員には各国から「農民組織のリーダー等」2名、「中央省庁や地方農業局等の行政機関の担当官」1名、計12名(うち女性5名)を選定しました。
研修員の選定に当たっては、特定のモデルサイトに関わる人材を集中的に参加させました。その理由は、研修員が研修成果として作成するアクションプランを 帰国後に確実に実施できるようにとのねらいからです。研修成果を目に見える形で示すことで、回りの地域にも研修成果が波及することを期待しています。
また、行政機関からも招聘することにより、モデルサイトの経験や研修成果を施策の立案に反映し、他地区への普及が図られるなどの波及効果を期待しています。

アフガニスタン

A氏 カブール県パグマン郡の農業協同組合代表者
B氏 カブール県カラバグ郡の農業協同組合代表者
C氏 アフガニスタン国農業・灌漑・牧畜省課長

ケニア

D氏 東部州南メル郡マグモニ地区の農民女性グループ代表者
E氏 西部州ブンゴマ郡で農民組織を指導するNPO代表者
F氏 ケニア国農業省主任農業官

タンザニア

G氏 アルーシャ州モンドゥリ県マハンデ村の灌漑組合の若手役員
H氏 アルーシャ州モンドゥリ県マハンデ村の灌漑組合の若手役員
I氏 キリマンジャロ農業研修センター主任講師

ザンビア

J氏 中部州ムクシ郡の農業協同組合代表者
K氏 ルサカ州ルサカ近郊の農民女性グループ役員
L氏 ザンビア国農業・協同組合省ルサカ州農業局農業協同組合検査官

過去の研修

ザンビア研修(平成22年10月10日~15日)

アフリカ3カ国(ケニア、タンザニア、ザンビア)の研修員を対象に、ザンビア国ルサカ州で研修を開催し、同国で実施されていた自律的農民組織の育成プロジェクト「PaViDIA」について、その概要、実践事例、生活改善手法の導入や収入向上等の成果等を学びました。
PaViDIAは、JICAとザンビア政府が共同して2002年6月から2009年5月にかけて実施したプロジェクトで、収入向上活動にインフラ整備と 研修を組み合わせ、住民参加型による村を主体とする総合開発プロジェクトです。PaViDIA自体は終了しましたが、後継のプロジェクト「農村振興能力向 上プロジェクト」(RESCAP)が開始されています。

日本研修(平成22年10月18日~29日)

ザンビア研修に参加した3カ国にアフガニスタンが加わり、日本(東京・栃木)で2週間の研修を行いました。東京で行った主な研修内容は次のとおりです。

(1)農林水産省において「農林水産省所管のODAの概要」の講義
(2)研修員によるインセプションレポート
(研修参加の動機と研修に期待する成果等をまとめたレポート)の発表
(3)「日本の農業及び農民組織の概要」の講義
(4)「日本における相互金融の歴史」の講義
(5)「日本における集落営農」の講義
(6)「一村一品運動と地域振興」の講義
(7)栃木研修(農民組織の実例を視察)
(8)「日本における農協組織の発展とその要因」の講義
(9)アクションプランの作成及び発表

栃木研修(平成22年10月25日~27日)

栃木県茂木町と真岡市において、様々なタイプの農民組織の実例を現地視察しました。
(1)道の駅もてぎ(含む、農産物直売所)
(2)農村レストラン「そばの里まぎの」
(3)茂木町長表敬
(4)「茂木町における一里一品運動について」の講義
(5)稲刈体験及び乗用コンバインの体験運転
(6)竹原郷づくり協議会における竹林・棚田オーナー制度等の取組
(7)茂木町有機物リサイクルセンター「美土里館」における食品リサイクルの活動
(8)農村レストラン「あじ彩」
(9)「生活改良普及員による農民組織指導の実践」の講義
(10)「JAはが野の概要」の講義と共同利用施設の見学
(11)西沼営農集団における集落営農の取組等

研修成果(帰国後の主な活動)

ケニア

東部州南メル郡と西部州のカカメガ郡・ブンゴマ郡で、研修成果を普及するためのセミナーが開催されました(写真)。  東部州では、研修員の指導助言により新たに3グループが組織化されました。これらグループは、新規作物(モリンガ)の栽培、キャッサバやバナナを原料としたジュースやジャムの生産、テーブルバンキングやメリーゴーラウンドの実践などを行っています。

タンザニア

研修員は帰国後に組合の役員会と総会にて研修とアクションプランの内容を報告しました。その際、日本の集落営農を参考に耕うん機の共同所有を提案したとこ ろ、承認され、5台分の購入費が予算化されました。購入資金を貯蓄するため、VICOBAという貯蓄を目的とした組織を5つ整備することになりました。既 存の3組織に加え、新たに2つの組織を設立しました。各々のVICOBAでは、組合員からの出資金と月々の拠出金を募り(写真)、1年間で3百万タンザニ アシリングを貯蓄し、国の補助金と民間の融資を受けて1台1千万タンザニアシリングの耕うん機を購入する予定です。

ザンビア

中部州の研修員は、帰国後に自身が代表を務める協同組合でトラクターを購入し、共同利用を開始しました。また新たに別の協同組合を設立し、子どもたちを対 象にトウモロコシの栽培を教育させる取り組みや、玉ねぎ栽培の専門家を招聘して農民に技術指導をさせる取組を行っています。
ルサカ州の研修員は、近隣の4グループに対して研修成果を発表(写真)、コッパーベルト州に赴いてマッシュルーム栽培の実演を行いました。

アフガニスタン

研修員は帰国後、各々の組合で報告会を行い、その後もミーティングを継続し、作業や生産手段の共同化について普及啓発を続けています。まずは組合員から出 資金を集めて組合として役牛を購入し、その賃料で組合の経営基盤を高めていく考えです。現金で賃料を支払うことが難しい場合は、収穫物として納めることも 想定しているようです。