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平成29年度 第1回農山漁村コミュニティビジネスセミナー【農業と福祉の連携 「誰もが当たり前に働いて生きていく町づくり」】開催結果

登壇者

株式会社 九神ファームめむろ 事業アドバイザー 且田 久美 氏

講師の且田久美さんは、高知県出身。通勤寮生活支援員、グループホームサービス管理責任者(地域生活)として、約9年間障がい者の生活支援に携わり、その後、サービス管理責任者(就労)を取得し、2009年簡易食品容器製造大手 ㈱エフピコの特例子会社、エフピコダックス㈱福山工場設立にともない、障がい者雇用責任者として着任しました。現在は、㈱エフピコの取引先を中心とした、障がい者雇用コンサルタントとしても活動中です。

セミナー開催報告(2017年4月18日開催)

働く人の夢がかなえられる仕事づくり

平成29年度 第1回(通算第120回)農山漁村コミュニティ・ビジネスセミナーは、北海道芽室町の障がい者の雇用を確保するために、愛媛県の総菜を手広く開発販売する株式会社クック・チャムと連携して、2013年(平成25年)4月に設立した株式会社九神ファームめむろの活動を通して、農業が誰もが当たり前に働いて生きていく社会に重要な役目を担っている姿を学びました。

株式会社 九神ファームめむろは、農業王国十勝の農業法人として作物の生産・販売から、自社生産作物を活用した食品加工、さらにお弁当の製造・販売、観光業を行う会社です。

この会社の大きな特徴は、障がい者を雇用することにあります。宮西義憲 芽室町長は、「この町で生まれ育った生涯のある子供たちの働く場をつくりたい」とプロジェクトを発足させ201212月町内の障がい者保護者会、地域の社会福祉法人、教育関係者、医療機関、農業関係者など関係する各所にむけての説明会を複数回実施したのち、20131月芽室町議会にて、本プロジェクトを行政報告し対外的に本プロジェクトが公表しました。

20134月の事業開始時は、障がい者9名雇用。農業に加工作業を組み合わせることによって、通年雇用を実現させたほか、障がい者だけでなく、元気高齢者と地域健常者を雇用したコミュニティビジネスを手掛けています。

20146月には、芽室町地域おこし協力隊1名を観光事業推進担当として配置し国民宿舎 新嵐山荘を活用し、九神ファームめむろを核とした農業体験、加工体験を通して“働く障がい者から未来の働く障がい者へ。働く力を彼ら自身で継承する”をコンセプトにした観光事業に取り組みをすすめています。

20152月 には、じゃがいもの加工作業だけでなく、ごぼうの加工作業も行い加工作業を拡大。こうした活動が評価され内閣官房及び農林水産省共催のディスカバー農山漁村の宝第3回選定され、さらにアクティブ賞を受賞しました。これまでの福祉事業所が月額数千円から数万円の賃金のなか、九神ファームめむろは、週5日6.5時間の労働時間を確保し月額10万円を超える給与を支払い、社会保険、有給休暇、社員旅行などを充実させた福利厚生を提供しています。このプロジェクト最初からかかわっている且田さんから、町との最初の出会いから農業による福祉活動を取り入れたビジネスのプラン、また企業化するにあたってのパートナー企業の誘致、そして実際の活動の様子、さらに他地域への横展開まで、じっくりお話しを伺いました。

第1回セミナー事務局のまとめ

〇九神ファームは、一言でいうと農業及び農産物加工を生業にした障がい者・高齢者の働く場所です。(働くことを学ぶ場所でもあります。)

〇芽室町という北海道を代表する農業主生産地であっても、障がい者は農業や食品加工の働き手として期待されていませんでした。そこから障がい者はきちんと働けること、働くことにより障がい者の意欲を引き出すことを考え抜いて作ることにより、働き手が得にくいさまざまな労働の現場に障がい者雇用の道を開くさまざま人に示しています。

〇地域振興の面からこのプロジェクトを見ると、農山漁村への企業の誘致という別の形も見えてきます。地域にとっては、障がい者や高齢者が安心して働く事業所ができること。出資(地域に進出)した食品企業にとっては、自ら原材料を調達し品質の高い食品を作りあげるのに、北海道の大生産地に自社農業を得るのと同様な効果を得ているのです。

〇この九神ファームめむろの事業スキームは、地元行政、地元農協、提携企業、障がい者及び障がい者保護者、地域福祉施設、地域特別支援学校、ハローワーク、高齢者サポート施設、地権者等々、さまざまなセクターが関係し協力し、それぞれのメリットを享受しています。

〇このプロジェクトの重要なポイントは、さまざまな思い込みを排し、きちんと利益を出すことを真剣に考えていることです。

〇障がい者だから、福祉だからといった思い込みで、働くことができない、こんな作業は無理と思いこまず、働くことに人それぞれの夢を叶える機会を創出するという柔軟な考え、またそのためには、世の中が求めている食品を作るというドライな考えから生み出されています。

〇ちなみに「九神ファーム」の九の神とは、①本人、②家族、③町、④町民、⑤福祉、⑥企業、⑦お客様、⑧教育機関、⑨土地の恵 です。九神ファームはこれら9つの神とともに第9セクターとして、皆の幸せを目指しています。

〇内閣府の障がい者白書(平成28年度)によると我が国の障がい者は、身体障害、知的障害、精神障害の3区分で障がい者数の概数をみると、身体障がい者393万7千人、知的障がい者74万1千人、精神障がい者392万4千人となっています。これを人口千人当たりの人数で見ると、身体障がい者は31人、知的障がい者は6人、精神障がい者は31人となり、複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ6.7%が何らかの障害を有していることになります。つまり障がい者は、身近な存在であり、少子高齢化で労働人口が減少していくわが国においては、外国人労働者云々の前に、働ける障がい者、働きたい障がい者に向けて安定した仕事の提供が欠かせないこととなっています。

〇障がい者が安心して働きお金を得るには、売れるものを作ることが何よりも重要です。地域には名産物、特産品があるが、それだからと言って売れるわけではなく、名産品を何かしようとかいうプライドを捨てて、お客様が求めているものを作り出すというビジネスを第一に考えないと貴重な労働が無駄になるからです。(売れないから低賃金という悪循環は排す考えを持つのが経営方針として何よりも重要)

〇農業は癒しになると言われているから障がい者に向いていると言われますが、それよりもきちんと働いた労働の対価を還元することが大事であり、安い賃金では労働意欲が上がらないのは健常者でも同じことです。

〇私の役割は、障がい者でも十分働き手になることを全ての関係者に理解させ、受け入れる町と一緒になって、事業を行う企業を誘致するためにプレゼン戦略を作り上げることです。町は福祉や町民のために考え、私は誘致企業が儲かるためのシュミレーションを詳細に作りあげ企業にプレゼンをします。

〇農業そのものだと経営的には厳しい、そこで農業に加工業を汲みわせて通年作業ができる環境が必須です。

〇障がい者の仕事に農業や食品加工が向いているのは、自分の仕事が世の中にどのような結果をもたらすのかがわかりやすいからです。土を耕し種を播き、野菜を育てれば大きくなるのは見てわかります。収穫し加工すれば、食べ物になります。その食べ物をお客さんが食べておいしいと言って喜んでくれる。また、自分の仕事が人に喜ばれる重要な仕事だろわかることが、仕事の励みになるのです。

〇九神ファームの取組は、他地域でも横展開が図られています。長野県飯山市、中野市、三重県東員町など取り組みが進められ飯山市では1年で成果が出ています。

講演する且田 久美 氏

㈱九神ファームめむろのWEBサイト

㈱九神ファームめむろのWEBサイト

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