ホーム > イベント・セミナー >  > 2014まちむら地域・人づくり現地セミナー(四国地区) 開催レポート

【主催】一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構 (愛称 まちむら交流きこう)
【後援】高知県本山町、徳島県三好市
【趣旨】当機構では、廃校活用をテーマに2012年6月から二年間をかけて北海道から沖縄までの全国各地で計11回にわたる現地セミナーを開催してきたところですが、農山漁村地域の活性化を図るためには、廃校の活用のみならず、未利用の多様な地域資源の活用を図ることや、これからの地域づくりを担う若い世代の人材を育てることが必要とされています。このようなことから、今年度より、「地域資源の活用と地域人材の育成」をテーマに、地域内外の魅力的な講師陣をお招きし、より実践的な「2014まちむら地域・人づくり現地セミナー」を開催いたします。
日  程
2014年11月26日(水曜日)~28日(金曜日)
開催場所
高知県本山町(汗見川ふれあいの郷清流館/旧沢ヶ内小学校)、徳島県三好市(落合集落/国重要伝統的建造物群保存地区等)
その他
セミナー参加者数 計34名 、視察ツアー参加者数 計14名

開催プログラム

【プログラムⅠ】 セミナー&講義 会場:汗見川ふれあいの郷清流館
<11月26日(水曜日)午後>
13:30 ◆開会 
     挨拶    山野昭二  一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構専務理事
13:40 ◆講義Ⅰ 「生きた人材育成塾を紡いで見えたこと」
     講師    森賀盾雄  アカデミックアドバイザー/観光カリスマ/元愛媛大学教授
15:10 休憩
15:30 ◆講義Ⅱ 「消滅可能性都市から持続可能性都市へ」
     講師    井上弘司   地域再生診療所所長/観光カリスマ/地域力創造アドバイザー
17:00 終了
17:30 交流会
19:30 座談会 
21:00 終了

<11月27日(木曜日)午前>
09:00 ◆講義Ⅲ 「地域運営の仕組みづくりと活動おこしサポート 」
     講師    有田昭一郎 島根県中山間地域研究センター地域研究グループ主席研究員
     講師    嶋渡克顕  口羽をてごぉする会アクションプランナー/NPO法人ひろしまね主席研究員
11:00 ◆閉会

【プログラムⅡ】 視察ツアーin徳島県三好市
<11月27日(木曜日)午後>
13:30 三好市役所集合~落合地区へ移動
16:00 落合集落(国重要伝統的建造物群保存地区)見学
19:30 座談会(会場:なこちLIFE HARE COTTAGE) 
21:30 桃源郷祖谷の山里茅葺き民家ステイ

<11月28日(金曜日)午前~昼>
09:30 ハレとケデザイン舎(旧出合小学校)見学
11:00 サテライトオフィス(旧政海旅館)見学
11:30 スペースきせる(古商家/シェアcafe)見学&昼食
13:00 三好市役所解散

セミナー講義Ⅰ 「生きた人材育成塾を紡いで見えたこと」

◇講師 森賀盾雄 愛媛大学アカデミックアドバイザー/観光カリスマ/須崎未来塾塾長

1948年愛媛県新居浜市生まれ
1972年岡山大学法文学部経済学科卒業以後、新居浜市職員として、商工観光課長・国保課長・情報政策課長・経済部総括次長・市民部長等を歴任し、2008年退職。同年、愛媛大学農学部准教授待遇ポストに、2010年教授に就任し、農山漁村地域マネジメント特別コースを創設する等、地域再生リーダーの育成に尽力する。観光カリスマ百選(内閣府/国土交通省)、地域活性化伝道師(内閣府)に選定。現在、愛媛大学アカデミックアドバイザー、須崎未来塾須崎未来塾(高知県須崎市)塾長を務める。

◆生きた人材育成塾とは

 これまでに、私はいくつかの人材育成塾を運営し、また他地域の塾にも参加させてもらってきました。その中で感じることは、「生きた」人材育成塾をやらなければ意味がない、ということです。塾生も講師も深い学びを持ち、成長していかなければ、生きた人材育成塾とは言えません。私が思う「生きた」人材育成塾を運営するポイントを紹介したいと思います。

①「参加者は、異年齢、異業種、異地域、異キャリア、異性、異ミッションといった異づくしの集団であること」
 様々な考え方の人が一つの場所に集まることで、お互いの学びと共感が生まれ、そこから新たなアイデアや工夫が出てきます。偏った人たちだけでは、アイデアや知識も偏ってしまうものです。様々な情報の組み合わせから新しいアイデアは生まれてくるのです。

②「現場力のある講師が揃っていること。ただし、単なる現場実践者のみではない〝現場力〟に通じた研究者もいること」
 やはり現場で実践している人たちに講師になってもらうことは非常に大切です。そこに加えて現場力のある研究者が体系付けて説明することで、学びはより深いものになります。更には、いつも講師を呼んでくるのではなく、時には、受講生に講義をしてもらう場面を作ってみましょう。人に講義をするということは、自分の取り組みをしっかりと理解していないと出来ないものです。うまく出来なければ、受講生は何が足りないのかを考えるきっかけにもなるのです。

③「受講生の参加しやすい講座日程であること」
 行政や大学の先生は、土日を潰して開塾することを嫌がりますが、受講生の視点になって、参加しやすい日程を決めなければ、誰のための育成塾なのかがわかりません。

④「座学とフィールドワーク・ワークショップをうまく組み合わせた講座にすること」
 座学で学んだことをフィールドワークで実際に考えてみる。さらには、ワークショップで、みんなで考えるということを一連のセットでやることで、学びはより深くなります。座学ばかりの塾もありますが、座学で学んだことも実践的に使わなければすぐに忘れてしまいます。

⑤「暗黙知と形式知との相互作用の〝るつぼ〟としての講座場面とすること」
 個人が持つ暗黙知(経験則など)と集団が持つ形式知(明文化された知識)が合わさることで、相互作用が生み出され、思わぬアイデアが生まれたり、暗黙知が形式知に昇華されたりと知識集積の場になりますので、意見交換などは積極的に行った方がいいでです。

⑥「講座開催中も講座内容に合わせた受講生の活動を重視しながら、講座で発表していただくこと」
 決まったプログラムをこなしていくのではなく、受講生が困っていることや課題に感じていることを塾で直接解決するような臨機応変な対応が必要です。こうした実際の課題に取り組むということの方が、受講生のためにもなるはずです。

⑦「受講生それぞれのミッションの明確化を計り、課題解決レポートを作成してもらうこと」
 受講生がどのようなミッションを持っているのかを共有することが大切です。課題をうちに秘めておいても解決するのは難しい。自分のミッションを明確に知ることから始めましょう。

⑧「単なる消化試合的講座には決してしてはならないこと」
 必ず何かしらの学びを持って帰ってもらうという意思を持って取り組まなければ良い塾にはなりません。

⑨「受講生は団体などから安易な義務的参加者を集めないこと」
 これは、絶対にやってはいけません。義務的に来ている受講生は、たいていの場合、学ぶ意欲がありません。受講生の意識というのは、塾全体の雰囲気にも関わってきます。学ぶ意欲のある人を呼び込む努力をしなければなりません。

⑩「ゆるやかな連帯と強い絆の形成をめざすこと」
 これが一番大切なことです。人材育成塾は終わってしまいますが、その後もゆるやかに連帯を持ち、何か困った時には「あの人に聞けばわかるという」状態を作り出すことで、地域づくりは進んでいきます。生きた人材育成塾の場合には、講師や塾長の及び知らないところでも、様々な連携が自発的に生まれるものです。

◆人材育成塾から見えてきたこと

 人材育成塾を行ってきた中で見えてきた、地域づくりのキーワードを紹介します。

  1. 地域づくりというのは、人にはじまり人に終わる課題である。このことは、非常に重要なことです。地域を再生できるかどうかは、人材にかかっています。ソフトやシステムだけでは地域の再生はできないのです。
  2. 今日の時代は絶えざる学び直しの知識社会。
  3. 組織が知識を生み出すのではなくて、知識を生み出すのは、人である。
  4. 地域づくりの主体は、その地域の住民でなければならない。
  5. 元気な地域は、「活動(アクティブ)人口=志民、試民」が多い。
  6. 人在から人材へ、さらに人財へ。
  7. 緩やかな交流・連帯が強い絆集団を生み出す。
  8. 多様な主体の多様な生き方を尊重し、連携し、想像する。
  9. 最も大切なことは真摯さである。
  10. 地域づくりは人です。ここにいる一人一人が地域どのような行動をしていくかが、そのまま地域づくりになると思います。
 今紹介したキーワードを頭に入れて、素晴らしい地域づくりを目指して欲しいと思います。

◆マイナス思考を反転し、地域の課題をチャンスに変えよう

 今の日本では、様々なことに対してマイナス思考な発言がなされています。「日本はダメになった」、といいますが、本当にそうなのでしょうか。「経済成長」や「人口増加」は果たして絶対条件なのでしょうか。周りの常識にとらわれず考えていかなくてはいけません。
 地域づくりも同じです。地方は問題が山積しています。それをそのままマイナス思考で見ていても、何も解決しません。思考を反転することで、地域の課題が解決できると思っています。例えば、日本中で増えている耕作放棄地は「厄介者」、とされています。しかし、耕作放棄地には、無限大の可能性があると考えれば、地域は宝の山、だと考えることもできるはずです。このように考えれば、地域というのは、遊休資源や遊休資産だらけです。この資産をいかに使い尽くすことが大切なのです。 
 これだけ資源があるのに、気が付かないというのは、私たちが利便性を求めてほとんどアウトソーシング(外部生産)しているからです。利便性を求めるのはやめて、地域に目を向けましょう。脱近代化を目指して、いかに地域経営をしていくか、ということが今、求められています。人口減少で縮小する地域社会の中で、コミュニティの想像的再生を目指しましょう!

セミナー講義Ⅱ 「消滅可能性都市から持続可能性都市へ」

◇講師 井上弘司 地域再生診療所代表/観光カリスマ/地域力創造アドバイザー

1952年長野県飯田市生まれ

長野県飯田市役所に勤務し、産業経済部エコツーリズム推進室長、企画部企画幹等を歴任し、2008年退職。同年、CRC合同会社「地域再生診療所」を開設し代表執行役に就任し、全国各地にて、観光・ツーリズム・6次産業化・雇用創造・中山間地域振興等の講演、年間指導を行っている。観光カリスマ百選(内閣府/国土交通省)、地域活性化伝道師(内閣府)、 地域力創造アドバイザー(総務省)に選定。

◆消滅可能性都市から持続可能性都市へ

 様々な統計では地方からは、この先、人がどんどんいなくなると言われています。はじめに、日本創生会議・人口減少問題検討分科会が発表した「2010年から30年間で、20~39歳の女性人口の予想減少率」を見てみましょう。四国の中で一番減少率が高いとされているのは、徳島県那賀町の83.7%(全体12位)です。ここ高知県で言えば、室戸市が83.4%(全体14位)です。このほかにも50%以上減少すると言われている地域が四国だけでも、50市町村以上あります。これらの地域は消滅可能性都市と言われていますが、この地域を持続可能性都市にしていくにはどうすればいいのでしょうか。
 村に産業を生み出そうと考えても、今はすでに、「モノやプログラムを作れば売れる」という時代ではなくなっています。農産物を中心に作るだけでは売れません。この状況を打開していくためには、農産物や体験、さらには農村そのものに価値をつけていかないといけません。
 では実際どうすればいいのかという視点で、地域のコミュニティを見直し、地域のモノやコトに価値を見出す方法について話していきたいと思います。

◆集落コミュティの健康が重要なキーワード

 まずは地域のコミュニティについて考えていきたいと思います。昔と今の地方を比べてみますと、戦前の集落というのは、地域内の相互扶助が成り立っていました。例えば、家を建てるとすれば、大工がいて、屋根葺職人や石工がいる。そして、材料を生産している人もおり、集落で、仕事が完結できていました。しかし、戦後になると相互扶助は希薄になり、産業や暮らしで必要な仕事は他所の専門家に発注・購入することが当たり前になっていきました。相互扶助の欠如が集落を自立できなくさせたのではないでしょうか。こうした状況だからこそ、集落のコミュニティを見直し、地域内で仕事を生み出し、お金を循環させるという仕組みが必要です。しかし、すでに集落のコミュニティそのものが機能していない地域も多くなってしまっています。
 集落コミュニティの「健康度」を見るとき、私は地元の神社やお宮を見せてもらうようにしています。集落のコミュニティがしっかりしている地域は、神社やお宮がしっかりと保存されています。小さな地蔵堂であっても、集落の人たちがきちんと維持しているところもあれば、重要な神社にもかかわらず、誰にも見向きもされずに朽ちていってしまっているような場所もあります。地域づくりを考えるとき、地域のコミュニティが現在どういう状態にあるか、というのは知ることは非常に大切です。コミュニティが機能していない場合には、まずそこから立て直す必要があります。

◆健康な村 元気な地域

 「健康な村・元気な地域」を作っていくには、どうすればいいかを考えていきたいと思います。
 まずは、健康な村づくりに欠かせない三つの健康要素を紹介します。
 1つ目は先ほどから話してきている「コミュニティの健康」です。コミュニティが健康でなければ、地域は元気になりません。健康なコミュニティを作っていくための課題は公益活動の担い手不足です。
 2つ目は、「心身の健康」です。地域における心身の健康を維持していくには、地域の医者不足が課題です。特に産婦人科や小児科がないと、女性や若い家族は安心して暮らせません。
 3つ目は「経済的な健康」です。働き場所がなければ、地域で暮らすことは難しくなります。この三つの健康要素のバランスが整っている地域は元気です。逆に自分の地域はどこが足りないかを考える指標にもなります。
 続いて、全国の元気な地域に共通する要素について紹介します。地域が元気になる「何か」を始める時は少なくともこの3つの要素が不可欠です。まずは、「当事者(誰が)」。次に「仕組み(どのように)」。そして「絞り込み(何を)」。この三つが明確でなければいけません。そして、それらは「誰に(誰のために)」なのか。元気な地域を訪れると、この3つのことが明確に可視化されていますので、気にしながら地域を見てみてください。

◆戦略を持って地域づくりを

 消滅可能性都市を持続可能性都市にしていくための方法(戦略)を考えていきます。

◆『明日のためのステップその1 ~仕組みと仕掛け~』
 まずは、自分の暮らす地域の目指す方向を創造し、そこに向かうシナリオを考えましょう。そのシナリオを実現していくためには、何が必要かと言いますと、仕掛けと仕組みです。ただの仕掛けではなく、他の地域と差別化する「仕掛け」を考えなくてはなりません。自分の中に蓄積されてきたノウハウや地域特性を生かした地域活動を取り入れ、他にないものを考えまなくてはいけません。そして、続いてその仕掛けを継続していく仕組みを作っていきます。仕掛けと仕組みが機能しなければ、上手くいきません。さらに、目標に到達するまでの段階別にシナリオを立て、方向修正をしながら進んでいくことが重要です。ここで、戦略と戦術についての話をします。戦略での劣勢を戦術で挽回することはできません。武器が同じであれば、兵力数が多い方が勝ちます。兵力数が同じであれば、武器性能を上げた方が勝ちます。戦略の本質というのは、「強みを生かして戦う」ということです。つまり、大企業と同じ企画や商品で勝負しても絶対に勝てません。大企業が「これは採算が合わない」、というモノの採算を合わせてやっていかなくてはなりません。ロット勝負でなく狭い地域を活用した差別化をしなければ、勝てません。他人の土俵で戦うのではなく、自分の土俵を作って、自分で一番になる、という発想が、地域づくりには重要です。

◆『明日のためのステップその2 ~仕事おこしの考え方~』
 次に、仕事おこしの考え方ついてです。孫氏の兵法「五事」の考え方を参考に説明します。孫氏の兵法「五事」とは、一に曰く道(目標)、二に曰く天(計画)、三に曰く地(フィールド)、四に曰く将(能力)、五に曰く法(達成)というものです。『ステップ1』でも述べましたが、まずは目指すべき目標やゴールを明確にし、目標までのシナリオを考えます。次に、地域の強みや弱みを分析し、目標に向けての計画作りを行います。そして、地域の資源探査を行い、実際にどのように進めていくか、何から始めるか、そしてそれはいつからいつまでか、リスクは何か、という細やかなフィールド調査を実施します。次に、自分の能力を判断しリーダーは自分がやるのか、他の人が向いているのかをしっかりと考え、何人でやるのか、武器は何か、といった自分たちの能力を見極めます。最後に、中間進捗状況や達成度を振り返ります。シナリオを思い返し、未達成の場合は、何が原因かを解析する。この一連の流れを確実に行うことで、「誰が」、「どのように」、「何を」ということがしっかりと見えてくるはずです。

◆『明日のためのステップその3 ~仕掛け人について~』
 続いては、地域づくりの仕掛け人についてです。地域づくりはそこに「暮らす人」が主体でければなりません。そのため、仕掛け人は地域住民から輩出されることが最も望ましいです。このセミナーに参加されている方は、地域おこし協力隊の方が多いと思いますが、協力隊は、まず地域の仕掛け人のサポート役をするのがいいと思います。地域に入ってすぐに何かを「仕掛ける」というのは難しい。地域の人と共同しながら、徐々に自分のフィールドを見つけていくのがいいと思います。また、地域づくりで大切にして欲しいのは、遊び心や好奇心をもって、取り組むことです。自分自身が夢中になれることを探していく必要があります。自分が楽しくやっているところに周りを巻き込み、他地域へPRしていくと、他地域がこの遊びに注目し、共感し、地域へ集まってくる。

◆『明日のためのステップその4 ~売るということ~』
 「売る」というのは、人に共感してもらうことです。まず、「誰と誰が共感するのか」を考えなくてはいけません。自分の生産する商品は誰が消費するのか。ここを間違えると、戦術がブレてしまいます。次に、「どんなもの・ことに共感してもうらか」、そして「それはいつなのか」。コンセプトやこだわりの「どれほどなのか」を明確にしていくことが大事です。このように商品の一つ一つを明確にしていかなければ、ものは売れません。サービス内容や商品の武器や切り札な何か、他との差別化はどこなのか、ということをしっかりと考えていきましょう。商品が、自己満足型になっていないか、振り返ってみて下さい。顧客価値は多様ですが、大切なことは、顧客自身の驚きや感動、共感が原点です。供給側の勝手な思い込みや押しつけは嫌われてしまいます。顧客価値を読み解き、これらを仕組みかすることに手間をかけていきましょう。

◆生産行為の美こそ農村最大の魅力

 今回は、消滅可能性都市を持続可能性都市にするために、「地域コミュニティ」や「地域づくり戦略」についての話をしてきました。
 地域づくりにも様々な方法があると思いますが、忘れてはならないことは、一次産業の生産行為の美こそが農村最大の魅力だということです。暮らしに根付いた生業のソフトパワーを最大限活用して、遊休荒廃する農地や山林を保全、地域発の持続可能な産業創出による企業や雇用作り、地域特有の民族芸能・地域文化の継承などを行うことが大切です。そしてツーリズムにしても6次産業化にしても、基本はやはり食の魅力づくりです。農林漁業の生産を基本にしながら、その地域の食やそれを通じた体験を伝えるということが、地域づくりの基本なのです。
 そこからいかに、地域らしさや独自性を出していけるかが、勝負の鍵です。日本の中山間地域が生き残る唯一のカタチを追求し、「稼ぎ」の風土産業興しと「仕事」のむらづくりを進めてもいい時代だと思っています。皆さまの今後の活躍に期待しています。がんばってください。

セミナー講義Ⅲ 「地域運営の仕組みづくりと活動おこしサポート」 ~島根県中山間地域での事例紹介とポイント~

◇講師 有田昭一郎 島根県中山間地域研究センター地域研究スタッフ主席研究員

1969年熊本県熊本市生まれ
鳥取大学農学部連合大学院博士課程中退後、コンサルティング事務所にて、都市部及び中山間地域の産業振興計画・事業サポートを中心に計画・調査に携わる。2003年度から島根県にIターンし、「島根県中山間地域研究センター」の職員となる。コミュニティビジネス(直売所、加工、福祉活動等)の設立・経営改善支援、地域運営組織づくり・運営手法、中山間地域の子育て世帯の家計支出調査と有効な支援策などに携わる。

◆島根県中山間地域のコミュニティの状況と地域運営の仕組みづくりの方向性

 私は、島根県中山間地域研究センターというところで働いています。同センターは、実際に中山間地域に入り込み、各地域づくりのステージに応じたサポートを行なっている団体です。現在、島根県の14市町村17地区でサポートを行なっております。このサポート事業の事例を紹介しながら、地域を活性化していくために、私たちが行なっていることを紹介していきたいと思います。 
 まず前提として、私たちは地域を活性化させるには、地域コミュニティと地域経済のどちらも重要だと考えています。どちらか一方だけでは、うまくいきません。地域を運営していくためには、地域コミュニティが非常に大切です。しかし、この活動を地域経済に繋げていかなければ、持続出来ません。地域運営の仕組みをつくり、それを地域経営にステップアップしていく、ということが必要だろうと考えています。

 それでは、まず「どのように当該地域の情報を把握するか」、そして「どのように課題や人材をグルーピングしていくのか」、「どのように事業をはじめるのか」について考えていきたいと思います。
 地域の活性化を考えるときに、よく言われるのは、地域資源の見直しや再発見ということです。この資源ということが、食や文化に焦点があてられることが多いですが、「人」そのものも資源です。更に、そこにある人間関係やコミュニティも資源だと考えています。
 そこで、まず私たちは、当該地域の人口構成や過去から現在までの人口推移を把握することおから始めます。次に、将来の人口推計を行ないます。同地域で2005年から2010年の人口推移が続くと仮定して、人口推計を行なうと、2020年には、409人、2040年には、人口166名、高齢化率56%になるという結果がでてきます。この結果は地域にとってはショッキングなデータになりますが、イメージ出来る数値情報を踏まえて、未来を見据えた地域づくりを行なっていくことが重要です。
 実際、少子高齢化・人口減少が進む中で、集落のみで対応を続けた場合、様々なことが、出来なくなってしまいます。自治活動を例にとってみると、やお葬式や道路・共同施設の管理などが行なえず、集落での生活条件そのものが低下していきます。農林業においては、農林地の所有者が外に出て行ってしまい、地域の農林地や家屋の管理ができなくなっていく、という悪循環に陥ってしまいます。そこで、集落での暮らしを支えるためには、集落で担ってきた役割の見直しや新たな仕組み作りが必要です。
 特に、「地域活性化」、「資源管理体制」、「生活サポート」といったことは、地域が生き残っていく上で必要不可欠なことです。こうした活動を維持していくためにも、集落より大きな範囲で取り決める仕組みづくりが必要になります。

◆より大きなエリアで地域暮らしを支える仕組「郷」

 私たちが提案しているのは、公民館単位(人口1000人程度)での地域運営を行なう「郷」という仕組みです。複数の集落を包含し、スケールメリットを活用していきます。この仕組みの肝は、部会制を用いて、多様な分野での活動を展開していくことです。農地管理や、特産品生産、販売、高齢者生活の支援、環境美化などを「郷」で担っていくのです。
 「郷」を進める上で重要なことは、1人1票制だと考えています。個人の意向を尊重していかなければ、うまくいきません。何かを決める際には、地域全体で決めていくということが地域の盛り上げりにつながっていきます。
 この仕組みによって、基礎的な生活圏を形成し、集落単位では不可能な機能を担います。そして、質的・量的にまとまった担い手を確保していくことが地域と暮らしを支えることに繋がっていきます。
 こうした地域の暮らしを地域全体で守っていく取組みが、新しい局面に入っている地域もあります。例えば、水道局から水道検診事業を住民が受託し、集落430戸の検診を行なっているという事例などです。これは、水道検診による人件費が発生するだけでなく、地域の人が行なうことで、高齢者の見守り機能にもなっているのです。このように、これまで公共セクターが担ってきた住民の日々の暮らしに必要な業を、住民が行なっていくという局面に入ってきているところもあります。 このときに大事なのは、経済事業としてやっていくことです。地域運営から地域経営へ、という視点が重要です。

◆アンケートから、地域の課題や可能性を探る

 それでは、地域の課題や可能性の把握手法について紹介します。
 わたしたちのセンターでは、まず、全住民アンケートを実施しています。世帯アンケートではなく、18歳未満も含めた全住民です。地域の課題は、地域全員の問題ですので、全員に聞くことが大切です。性別や年代の思いや違いを共有することができます。年代によって課題や抱えている問題が違う、ということが分かりますし、その一方で、全世代に共通した課題もあるはずです。共通する課題が最初に、取り組むべきものかもしれません。
 この全住民アンケートは、地域の人に作成してもらっています。アクションリサーチと呼んでいますが、住民が皆で考えて、「地域にはこういう課題があるよね」、という仮設を立て、アンケートで検証するというプロセスを踏むことで、地域の課題をより客観的に考えられる様になっていきます。
 アンケートへの回答が難しい高齢世代のところへは、個別に聞き取り調査をしていくことも重要でしょう。高齢者の困りごとや、後継者の有無、他出している子どもの状況やつながりをまとめていくことも地域づくりには重要です。地域の農林地等の多くは、他出している世代が所有しているケースが多いです。聞き取り調査をすることで、他出している人との関係づくりを行なうことも出来ます。

◆地域づくり参画意識醸成・地域づくりの活動体制づくり

 地域づくり計画の作成について紹介します。
 アンケート・戸別訪問の結果を集計したら地域で報告会を行ないます。アンケート作業を第一段階とすると、第二段階は当該地域の自治会の連携体制づくりです。各自治会の人に集まってもらい、人口推計や地域づくりの方向性についての協議してもらいます。
 第三段階では、グループワークを行ないます。グループワークでは、各自治会+集落支援員や地域おこし協力隊を交えてディスカッションを行なっていきます。ここに、役場や私たちがサポート役として入り、地域の魅力や課題を話し合っていきます。このグループワークで出た案の中から、特に大切・必要だと思うことに投票してもらいます。投票の結果をもとにして、いくつかの取組みを形にしていくための意見交換を行い、内容を深めていきます。
 第四段階では、計画をより具体的にしていくためのグループワークを行ないます。そして、それぞれの計画ごとに部会をつくっていきます。しかし、部会を作るときが実は難しい。参加者は、色々なところに意見を持ってきているので、いきなり、部会を分けてしまうと、フラストレーションが残ってしまいます。始めは、皆が色んなところに口を出せる様に、ローテーションで意見を出し合っていくことが大切です。ローテーションしていく中で、部会のメンバーというのが固定されてきます。部会が決まると、次は部会ごとに実際に行なっていくことを決め、計画案を作成し、実施する、という流れになります。

◆計画づくりのポイント

 計画づくりのポイントは、「いつまでに」、「だれががやるのか」。「そのための必要な条件は何かを決める」ことです。「すぐやることなのか」、「1年~2年かけてやっていくのか」、「5年間かけていくのか」、そして「それは誰がやるのか」ということを決めることで、計画の実現性が格段に上がります。
 それともう一つのポイントは、「最初に始めるアクションをいれておく」ということです。動きだしというのは、非常に難しいですので、まずは何をするのか、ということを最初に決めることが重要です。また、計画策定中でも動き出せるものはどんどん動いていった方が良いです。
 私たちがサポートしている、島根県三本町三原地区では、計画中から地域の人たちが月1回集まって話しをするサロン「三原のこと色々お話会」を始めました。サロン活動は地域おこしにおいて、重要な意味を持ちます。住民同士の話合いの中で、地域の課題や問題、資源などが見えてくることが多々あります。私たちのセンターでは、こうしたサロンを地域に作ることを中間目標にしています。サロンが様々な活動の拠点になっている、という事例もあります。
 サロンづくりで大事なことは、そこに立ち寄る理由を作ることです。飲み物やお茶菓子を置いておく、というだけでは人はなかなか来てくれません。サロンやその近所を訪れる理由を作ることが大切です。そのことによって一度訪れた人は、次から用事がなくても、立ち寄ってくれます。
 地域を持続させていくためには、地域の現状と未来を知り、地域の課題の把握、実際の活動づくりへと繋げていくことが大切です。活動を広げていく中で、地域運営から地域経営に変換していかなければなりません。地域の仕事でお金を生み出し、地域が持続していく仕組みを経営していくことが重要です。

セミナー講義Ⅲ 「地域運営の仕組みづくりと活動おこしサポート 」 ~過疎高齢化への口羽をてごぉする会の準備と持続できる取り組み体制づくり~

◇講師 嶋渡克顕  口羽をてごぉする会アクションプランナー/NPO法人ひろしまね主席研究員

1977年島根県生まれ
民間のまちづくり・建築設計事務所での修行を経て2010年独立。「建築」と「地域づくり」を「暮らしの環境づくり」という観点から同等に思考し、「暮らし家」のようなポジショニングのシゴトづくりを展開。広島の都心と島根の中山間地域(口羽地区)での二地域居住を実践し、口羽をてごぉする会アクションプランナーとして、子どもたちにバトンタッチできる社会環境づくりに向けたライフスタイルとワークスタイルの新しい方向性を自身の体験をもって検証中。

◆過疎高齢化進む地域で地域運営の仕組みづくり

 私は、建築設計事務所で働きながら、地域づくりの支援を行う中山間支援組織「NPO法人ひろしまね」の主席研究員として、地域づくりの取組みを進めております。本日は、私が運営支援として携わっている島根県邑南町口羽地区の「口羽をてごぉする会」の取り組みについてお話ししたいと思います。私自身も、口羽地区の出身であり、そこに暮らす人々や子ども達の未来のためにも、地域をどうやっていけば維持できるか考えながら取り組んできました。
 それでは、はじめに邑南町と口羽地区の概要から説明していきます。邑南町は、2004年に石見町、瑞穂町、羽須美村の3町村の合併によって誕生した町です。島根県の中央部に位置しており、広島県に隣接した地域です。人口は12,506人、世帯数は5,120戸(2009年1月現在)です。口羽地区は、邑南町の最東部に位置し、人口は約770人、世帯数は350戸、高齢化率は53%です。20の集落からなり、概ね大字単位でまとまった自治会が4つあります。集落別に高齢化率を見ていきますと、70パーセントを超えている集落が5つもあり、邑南町の中でも、もっとも高齢化が進んでいる地域です。本庁からは遠く、高齢化が進行しており、集落を持続していくのが難しい地域だと言われています。
 この口羽地区を持続していくための取り組みとして発足したのが、「口羽をてごぉする会」です。名前の「てごぉ」というのは、当地の方言で、「手助け」や「手伝う」という意味で、地域が元気になる手助けをしようという思い出名付けられました。

◆てごぉする会の活動状況

 それでは、「口羽をてごぉする会」が、どのような取り組みをしているか説明していきます。小規模高齢集落が増加してきますと休耕田や家周辺の草刈り、独居世帯の交通支援や見守り制度といったニーズが増えてきます。また集落の伝統的行事の運営や集落運営型葬儀のような共同作業ができなくなってきてしまいます。高齢集落では、もはや住民だけで地域を運営していくこと自体が困難になってきてしまいます。こうした問題を解決するためには、ニーズに応じて高齢集落の自治活動を支援していく「集落支援センター」が必要になります。「口羽をてごぉする会」は、この「集落支援センター」の役割を担っています。具体的には、月に一回、地域のお年寄りを乗せて街に買い物にいく「おでかけサロンバス」や農地水環境事務代行、家庭菜園を守る鳥獣害対策、みんなが集まれるサロンの運営、新聞配達事業などを行っています。集落の自治活動を支える事務局組織は、日本中のあらゆる集落において必要になってきているのではないかと思っています。
 「口羽をてごぉする会」の現在の組織体制は、3つの部門からなっています。1つ目は、組織経営のための経済活動の推進を担う「LLP(有限責任事業組合)てごぉする会」です。この部門では、新聞配達事業を担っています。2つ目は、地域の認知・公認 福祉的活動の推進を担う「口羽地区社会福祉協議会」。そして3つ目が対行政との交渉や自治会間の連携強化を担う「口羽地区振興協議会」です。このように、てごぉをする会は、「自治」×「福祉」×「経済」という3つの別々の業務をまとめて一つのチームで行っています。まさに、「地域の総合事務所」というわけです。
 しかし、同会は設立当初はこうした組織ではありませんでした。現在の形になった経緯はこうです。「口羽をてごぉする会」は地区社会福祉協議会の特別委員会として2009年に結成されました。当時から、地域の事務局としての活動を行ってきました。2011年に転機が訪れます。口羽地区から新聞配達業者が撤退してしまうことが決定してしまいました。口羽の人たちが新聞を読むことができなってしまうのは困るので、新聞配達事業を「てごぉする会」で担うことになりました。それに伴い、事業に関わる会員で「LLP(有限責任事業組合)てごぉする会」を設立しました。また同年、地区に新たに自治会、支所等を含めた「口羽地区振興協議会」が組織されました。その事務局及び企画推進も「てごぉする会」が担うことになり、現状の組織体系が出来ありました。
 以上のように、位置づけの異なる3つの組織を重ね合わせた地域の運営体制を構築し、柔軟に組織活動を 展開している、珍しい組織ですが、非常に理にかなった形でもあると思っています。

◆地域運営の仕組みづくり

 ここからは、私が「てごぉをする会」に関わっていく中で感じた地域活動及び組織おこしのポイントをご紹介したいと思います。
①「動機付けと人集め」
 地域のキーパーソンを繋ぎ、少数精鋭部隊として機動力と意識のあるチーム作りをすることが大切です。義務でやるのではなく、仕事としてできる仕組み作りも同時に作っていく必要があります。
②「合意形成は、目に見えるシミュレーション」
 皆が目で見て共有しやすいシミュレーション(課題なども含めて)を提示する必要があります。具体的なシミュレーションをするには、事前調査が必要になります。とにかく動き、成果は常に共有し、目に見える形で、合意形成を図っていくことが重要です。
③「地域の人と話をして歩く」
 地域に眠るニーズと実態調査を自分の足をつかってやることで、地域の課題や展望が見えてくるはずです。さらに、聞き取り調査は充実感があり、チーム結成初期のモチベーションの上昇につながる。また、地域の人への組織と活動のPRになります。何度も顔を出すことで、地域の人との信頼関係を深めることにもなります。
④「楽しいことも考える・やる」
 地域への危機感を持つことも大切ですが、楽しいことを考え、実行するということも大切です。
⑤「ぶれないコンセプトと目標:中長期ビジョンを持つ」
 どのような地域を目指すのか、という目的が明確になっていれば、はじめの一歩目が踏み出しやすくなります。さらに、目的を達成するために立ちはだかる課題を見据えることで、リスクマネジメントの役にも立ちます。まずは、ぶれないコンセプトと目標を持つことが、地域における活動ならびに組織を作っていく上で、重要です。

◆トラブルをエネルギーに変える地域づくり

 「てごぉする会」を結成した当時から、メンバー同士で大事にしていることを紹介したいと思います。
 1つ目は、「できない!」ではなく、「とにかくできることからできるようにやろう」ということです。「できない」、と言ってしまえば、そこで思考は停止してしまいます。とにかく「きることから!」を重要視しています。
 2つ目は、「お金がないなら無いなりに、こつこつやっていこう」ということです。1つめのことにも関連しますが、「できない!」ということの多くは、お金や人材の問題が多いです。そこで思考停止せずに、お金がないなら、まず出来ることから始めてみよう、ということです。
 3つ目は「なんでもかんでも全てごぉする会が支援しない」ということです。「やるべきこと」と「やらないこと」を明確にしておかないと、有志の負担がどんどん積み重なってしまいます。できる分野の支援をしましょう、という風にしっかりと決めておくことも大事です。
 地域の運営組織を作るというのは、非常に大変でエネルギーのいることです。また、トラブルなどもたくさんおこると思います。しかし、トラブルや危機感こそが、チャンスであるとも思っています。例えば、口羽地区から新聞配達業者の撤退が決まった時は、非常に困りました。しかし、その部分をてごぉする会で、担ったことで、会は現金収入を得ることが出来、さらに地域の見回りの役目も担うことができました。
 これは、ピンチをチャンスに捉えた結果だと思っています。みなさんにも、危機やトラブルをエネルギーに変えて頑張って欲しいと思います。

セミナー交流会

▲交流会では、汗見川ふれあいの郷清流館にて調理を担当する地元お母さんたちによる手づくり田舎料理をご提供いただきました。また、お酒は、汗見川流域で丁寧に育てた自家栽培米を使用したどぶろく「山の雫」等をご提供いただきました。

セミナー座談会 「四国地域づくり若手リーダーの集い」

▲小林和彦(沖縄県国頭村地域おこし協力隊)及び上野伊代さん(高知県須崎市地域おこし協力隊)の司会のもと、三組の四国ゲストとして、黒須夫妻(夫 西予市地域おこし協力隊/愛媛県西予市在住)、石川夫妻(夫 元仁淀川町地域おこし協力隊/高知県仁淀川町在住)、野田夫妻(みどりの時計台スタッフ/高知県大豊町在住)をお招きし、「四国地域づくり若手リーダーの集い」と題して懇談会を開催しました。はじめに、各地域でどのような活動をしているか、パワーポイントを使い、司会及び各ゲストより自己紹介が行われました。次いで、同伴いただいた奥様より、女性の立場から見た定住先での仕事や暮らし等に対する想いを語っていただきました。

◇司会 小林和彦 沖縄県国頭村地域おこし協力隊

1974年埼玉県幸手市生まれ

国学院大学卒業後、1996年にNPO法人NICE事務局長に就任。2004年~2010年の間、「菊池ふるさと水源交流館(旧菊池東中学校)」を活動拠点とする「NPO法人きらり水源村」の事務局長に就任。2010年より㈱JTBコミュニケーションズ九州より八女市へ出向し、「茶のくに研究所」主任研究員に就任。2012年より全国廃校活用セミナーの開催に伴い、まちむら交流きこう客員研究員に就任。2013年より、沖縄県国頭村の地域おこし協力隊のスタッフとしてヤンバルクイナ生態展示学習施設等の運営に従事する。

◇司会 上野伊代 高知県須崎市地域おこし協力隊

1984年高知県土佐市生まれ
高知女子大卒業後、企画営業、編集、イベントの企画運営などの職種を経て、須崎市が好きすぎて、2013年から地域おこし協力隊に就任。 現在は、女子目線でイベント運営などを行う「すさき女子じかん」・須崎市の伝統文化を発信する「Archive」・須崎市浦ノ内地区の青壮年団「りぐる浦ノ内」のサポート等に従事している。

◇ゲスト 黒須秀悟 西予市地域おこし協力隊

1960年東京都板橋区生まれ
都内総合印刷出版会社へ勤務、安全衛生管理者として二次救急病院、3PL物流会社へと転職。2013年より愛媛県の「西予市地域おこし協力隊」として着任し、西予市野村町に夫婦で移住する。イノシシ肉を利用したB級ジビエ料理、耕作放棄地を利用した景観植物の加工利用、キャラクターの試作及びイベント販売等の地域おこし活動を行う。

◇ゲスト 石川伊佐男 山村自然楽校しもなの郷スタッフ

1962年東京都文京区生まれ
学習塾・不登校生サポート校で責任者として16年間勤務。退職後、岐阜県立森林文化アカデミーで林業と環境教育を学ぶ。2010年高知県の「仁淀川町地域おこし協力隊」に着任し、仁淀川町に夫婦で移住する。山村留学の池川自然学園や地元の生産者組合の支援、移住促進事業の企画実施、子どもの自然体験キャンプや石窯ピザづくり体験、山里の暮らし体感ツアーの交流イベントを行う。2014年以降は、山村自然楽校しもなの郷スタッフとして従事。

◇ゲスト 野田正樹 みどりの時計台スタッフ

1967年大阪府生まれ
2001年ラフティングのインストラクターとして高知県大豊町の会社で夫婦で働き、移住する。2003年休校中の川口小学校にめぐり合い、ラフティングの滞在施設としての利用について、行政や地元住民との協議を経て、2006年町から校舎を借り受け、「学校に泊まろう みどりの時計台」をオープンする。

視察ツアーin徳島県三好市

視察ツアー 落合集落(国重要伝統的建造物群保存地区)見学

▲落合重要伝統的建造物保存協議会会長の南敏治さんのご案内で、晩秋の落合集落を見学しました。落合集落は高低差約390メートルにも及ぶ崖の集落で、江戸時代中期から後期に建造された古い民家が今も崖に張り付くように点在しています。こうした古い民家は山村集落特有の構造と間取りを持ち、集落内をうねるように伸びる里道、周囲に広がる石垣や耕作地と相まって独特の景観を持っています。2005年には、このような歴史的景観の希少性が評価され、集落全体が重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されています。

視察ツアー 夕食&座談会

▲「LIFE SHARE COTTAGE」にて夕食をいただきました。この古民家は、およそ1年弱のあいだ空家となっていましたが、地元祖谷出身者 [大倉さん] と祖谷への居住者 [稲盛さん] の2名の管理人の手で、祖谷での生活を創り出し、共有するための拠点 としてリノベーションされ、2014年10月にオープンしました。今回は特別メニューとしてジビエ料理をご提供いただきました。

▲「なこちLIFE SHARE COTTAGE」にて、千田良仁さん(一般社団法人村楽代表)の司会のもと、五人の地元ゲスト、南敏治さん(落合重要伝統的建造物保存協議会会長)、稲盛将彦さん(なこちLIFE SHARECOTTAGE管理人)、大西恵大朗さん(三好市地域おこし協力隊)、武川修士さん(NPO法人マチトソラ代表理事)、百々一さん(NPO法人てヲとる代表理事)をお招きし、「山里の再生」と題し、懇談会を開催しました。各ゲストから、落合集落の重伝建地区指定について、桃源郷祖谷の山里茅葺き民家ステイについて、なこちLIFE SHARE COTTAGEについて、東祖谷での地域おこし協力隊の活動について、旧馬場小学校での廃校活用についてのお話をいただきました。

◇司会 千田良仁 一般社団法人村楽代表理事

1976年香川県さぬき市生まれ
京都大学生物資源経済学専攻後、民間シンクタンクを経て、地域活性化の支援を行う株式会社アイファイを設立。東京大学大学院農学生命科学科農学国際専攻特任研究員、一般社団法人村楽代表理事、地域力創造アドバイザー(総務省)を兼任。三好市では地域再生マネージャーとして、地域おこし協力隊員制度や廃校利活用を核とした地域資源を見直し、活性化を進めていく取り組みが持続的に行える仕組みの構築と人材育成の取組を支援している。

◇ゲスト 南敏治 落合重要伝統的建造物保存協議会会長

徳島県三好市生まれ
2005年、歴史的景観の希少性が評価され、集落全体が重要伝統的建造物群保存地区に選定され、落合重要伝統的建造物保存協議会会長に就任する。地元保存会と地元NPO法人が連携協力し、訪れた観光客や宿泊客を現地案内する落合集落ガイド、地域に伝わる食文化を体験するそば打ち体験、米作り体験等を行う。

◇ゲスト 稲盛将彦 なこち LIFE SHARE COTTAGE

1981年千葉県千葉市生まれ
2011年三好市祖谷に移住。地元東祖谷で活動するNPO法人「篪庵(ちいおり)トラスト」に籍を置き、茅葺き民家ステイの運営などを行う。その後、落合集落の空家となってた古民家を改修し、祖谷での生活を創り出し共有するための拠点「なこち LIFE SHARE COTTAGE」の管理人となる。

◇ゲスト 大西恵大朗 三好市地域おこし協力隊

1988年徳島県三好市生まれ
幼稚園から高校卒業まで地元池田町で暮らす。大阪、関西空港でグランドスタッフとして国際線で勤務。2011年より「三好市地域おこし協力隊」に着任。マチトソラ芸術祭や落合集落ガイドのサポート、阿波ナビ動画コンテンツ作成の手伝い等の活動を行う。

◇ゲスト 武川修士 NPO法人マチトソラ代表理事

1950年徳島県三好市生まれ
1974年池田町役場勤務、教育次長、総務課長、助役を歴任。2006年に6町村が合併し三好市が誕生とともに三好市副市長を歴任し、2012年に退職。2012年11月NPO法人「マチトソラ」を設立、代表理事に就任する。

◇ゲスト 百々一 NPO法人てヲとる代表理事 

東京都品川区生まれ
2001年株式会社クリップインターメディアを設立、代表取締役社長に就任する。2010年「NPO法人てヲとる」を設立、代表理事に就任する。2014年三好市から旧馬場小学校を借り受け、「ウマバ一プロジェクト」を開始する。

桃源郷祖谷の山里 茅葺き民家ステイ

▲桃源郷祖谷の山里茅葺き民家ステイ(悠居・雲外・蒼天・晴耕)に分泊しました。この施設は、三好市の優れた自然環境や落合重要伝統的建造物群保存地区の文化的資源を滞在しながら体験できる環境を提供し、市内外の人々の交流や対話を深め、地域の活性化と観光振興及び文化的資源の保存に資することを目的として、現在、計6棟の茅葺古民家ステイが整備されています。古民家再生に際しては、「昔ながらの趣を最大限に残しながらも、現代人でも快適に、そして魅力的な滞在ができる設備を整える」こととし、国の重要伝統的建造物群保存地区の特定物件に選定されているため、東洋文化研究者アレックス・カー氏によるプロデュースのもと、外観部分は創建当時の姿に戻し、建物内部は古い趣を最大限残しながらも、エアコンや床暖房、最新の水回りなどを整え快適性を高めた施設となっています。

ハレとケデザイン舎(旧出合小学校)見学

▲旧出合小学校を活用した「ハレとケデザイン舎」を見学しました。この施設は、子供と家族を中心に「デザイン(美・贈)」×「カフェ(飲食・癒)」×「月行事(楽・遊)」を融合した暮らしの彩りを提供する場として、2014年10月にオープンしました。これら取り組みの経緯や活動の様子を、ハレとケデザイン舎代表の植本修子さんからご説明いただきました。

サテライトオフィス(旧政海旅館)見学

▲サテライトオフィス(旧政海旅館)を見学しました。この施設は、1887年創業の老舗旅館「政海旅館」の1階玄関付近の1室を改築し、オフィスとして再利用されています。2013年より、人材紹介コンサルティング、人事評価システムの運用事業を手がける「株式会社あしたのチーム」(所在地:東京都港区)の、徳島県三好市初のサテライトオフィスとなっています。これら取り組みの経緯を三好市役所職員の方からご説明いただきました。

spaceきせる(シェアcafe/NPO法人マチトソラ活動拠点)見学

▲spaceきせるを見学しました。この施設は、コミュニティー・スペース「シェアcafe」として活用されています。また、NPO法人マチトソラの活動拠点としても利用されており、うだつマルシェやマチソトラ芸術祭、マチソラ学校等の運営サポート事業が行われています。これら活動の経緯や様子について、NPO法人マチトソラ職員の元木香織さんからご説明いただきました。

▲spaceきせるにて、三好市にて築90年の古民家を改装したゲストハウス「空音遊」を営む保坂一和里さんによるマクロビ食をご提供いただきました。

 

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